こちらのコラムでは、無料で使える情報共有のためのビジネスノートツール「welog(ウィーログ)」の運営スタッフが、ビジネスにおける情報共有やナレッジマネジメントについて発信しています。少しでも皆さまのお役に立てれば幸いです。
目次
情報技術を意味する、IT(Infomation Technology)。IT化は、この技術を使ってデータなどを活用する体制や環境を作り出すことです。自社でどのようなIT化ができるか、IT化のイメージを具体的に持ちにくい方もいるでしょう。
今回は、IT化の意味やDXなど似た意味をもつ用語との違い、IT化のメリット・デメリットを紹介します。業界ごとの課題や、情報共有ツール「welog」を導入してIT化を促進した事例も載せていますので、IT化に向けた取り組みの参考にしてください。
「welog」は、メンバーのノウハウやナレッジを見える化することで
中小企業の属人化問題を解決するドキュメント共有ツールです。
IT化とは、ITを使ってさまざまな情報やデータを整理し、全体として機能するまとまりや仕組みを作ることです。注文・会計システム、在庫管理システムなど、IT化を実現するために昨今多様なサービスが登場しています。いずれのシステムも、手間を減らして業務を効率よく行うことを目的とする点で共通していると言えるでしょう。
ここでは、IT化が求められている背景や目的についてのほか、「デジタル化」「DX」との違いについて説明します。
東京商工会議所が23区内中小企業・小規模事業者を対象に行った調査によると、ITツールを導入している割合は2020年度から2022年度にかけて増加傾向です。2022年9月~10月の調査では61.6%と、過半数を占めています。
(出典:東京商工会議所『中小企業の経営課題に関するアンケート調査結果』)
企業がIT化を推進している背景には、労働力人口の減少のほか、近年の感染症の流行が挙げられます。IT化を進める企業では、このような問題や予想される非常事態に対し、IT化を通して働き方改革や業務効率化を実現することで、リスクを回避しビジネスチャンスを広げています。
「IT化」「デジタル化」「DX」は、「デジタル化→IT化→DX」の順にアナログからの変革の各ステップを意味します。
「デジタル化」は、アナログな状態や手法からデジタル化された情報やデジタルを使った手法への移行を指す言葉です。例えば、ペーパーレス化などがこれに含まれます。デジタル化は、IT化への移行の一過程であると考えるとよいでしょう。
他方で、「DX」はIT化によって作られた仕組みを活かし、サービスの内容やビジネスモデル、組織文化を変革させ、競争上の優位性を確立することを指します。IT化よりもさらに一歩進んだ概念がDXであると言えるでしょう。
例えば、電話や書面で受けていた受注業務を、メールなどで受け付けるようにするのがデジタル化にあたります。その上で、受注システムを導入することにより、受注業務の効率化をさらに進めるのがIT化です。さらに、ITツールを組み合わせて顧客に新たな購入体験を提供したり、競合他社に対する優位性を確立したりすることがDXにあたるでしょう。DXを実現するためには、まずはデジタル化やIT化を進めなければなりません。
経済産業省では、2018年に公表した『DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服と本格的な展開~』の中で、既存のITシステムの内部構造が理解されないままブラックボックス化することを懸念し、以下のように述べています。
『複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムが残存した場合、2025年までに
予想されるIT人材の引退やサポート終了等によるリスクの高まり等に伴う経済損失は、2025年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)にのぼる可能性がある。』
(参考:経済産業省『DXレポート~IT システム「2025 年の崖」の克服と DX の本格的な展開~』)
さまざまな分野にITシステムを供給してきたSAP社のERPなどのシステムが、2025年にサポート終了することに加えて、旧プログラミング言語を理解する人材の高齢化が問題となっています。これらの課題を放置すると、巨額の経済損失を生じるリスクがあるのです。「2025年の崖」問題を回避してDXを実現するためにも、IT化は早急に取り組むべき課題と言えるでしょう。
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IT化には、主に「情報の見える化」「情報の集約」「作業の自動化」といった、3つの効果があります。これらの効果により、次のようなメリットが期待できるでしょう。
IT化は、人件費や消耗品費、保管費などのコスト削減に役立ちます。例えば、ITを活用すると在庫状況や業務の進捗状況を「見える化」することが可能になります。現場の状況を把握しながら、余剰在庫を減らしたり、無駄のないリソース配分を行ったりすることで、コスト削減につながるでしょう。
IT化を進めることで業務の効率や処理スピードが上がるため、生産性の向上が期待できます。情報が一箇所に集約されることで、業務管理がしやすくなることも生産性に寄与するでしょう。
今まで人が行っていた作業をAIが代わりに行うなど、自動化を実現するITシステムでは、人的ミスが減ることも生産性の向上に役立っています。
作業を自動で行うITシステムの導入や業務効率化の実現によって、以前より少ない人員でも業務を進行することができます。情報の集約や見える化によって作業の工数が減ることや、チャットボットなどのAIが人の代わりに機能することで人手不足を解決できるでしょう。
IT化によって、時短勤務やテレワークなど働き方に多様性が生まれ、引っ越しや育児などによる離職を防ぐという効果も期待できます。勤務地にこだわらなくてよいため、採用の幅を広げることも可能です。
「情報が見える」「管理がしやすい」「作業を自動でやってくれる」などといったIT化の効果を得て、初めてシステムをより活かすための変革へと踏み出すことができるでしょう。IT化によって収集したデータやシステムを基盤とし、さらに優位性の高いビジネスモデルへと展開します。
IT化にはどのようなデメリットがあるのでしょうか。IT化における注意点についてもご紹介します。
IT化には、サーバーやソフトウェアの購入など初期費用がかかります。維持費として、サーバーレンタルなどのインフラ費、ツールなどのライセンス費などが想定されるでしょう。社内にITについての知識を持つ人材がいない場合、外注やIT人材の採用コストも考えなければなりません。
IT化をサポートするツールのなかには無料で使えるものもあるため、理想のシステムを実現するために効果的な費用の使い方を考えましょう。
IT化を実施してから結果が出るまで、長期的な視野を持って取り組まなければなりません。業務フローの洗い出しなどから始め、ITシステムを構築し、社員や顧客が新しいシステムを使いこなすことができるまで、じっくりと腰を据えて取り組む必要があります。
今までの業務のやり方を変えることは社員にストレスもかかるため、IT化に向けて全員の意識を統一することも必要となってくるでしょう。社員が積極的に取り組むことができるよう、コミュニケーションの機会を積極的に取るなどの工夫が必要です。
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IT化の普及状況は業界によってさまざまです。総務省の『 情報通信白書 令和3年版』によると、農業・林業や漁業などの一次産業のほか、医療・福祉の業界でDXの取り組みが進んでいません。
(出典:総務省『情報通信白書 令和3年版|第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済』)
ここでは、農業、医療、建設業の3つの業界を選び、IT化が進まない背景や今後の展望について解説します。
アナログな経営方法が主流の農業ですが、AIやロボットを活用した作業の自動化が、実験段階から現場へ進出し始めています。農業経営サポートに特化したクラウドサービスや、画像解析の技術を活用しドローンを使った見回りなどを請け負う業者など、ITを活用して営農支援する民間サービスにはさまざまなものがあります。しかし、小規模農家ではITツールの導入費用がネックとなっているほか、投資回収の見通しが立ちにくいことなどが課題となり普及が進んでいません。
担い手不足が問題となっている農業においては、AIなどの活用や作業の効率化の実現が急務です。データ活用による収量アップのほか、原価管理やマーケティングへの活用など、農業におけるIT化はさまざまな可能性を秘めているでしょう。
(参考:農林水産省『農業DXをめぐる現状と課題』)
医療業界では、カルテや処方箋、他の医療機関への連絡など、紙での情報管理や伝達が未だ多く行われているのが現状です。個人情報を守るためのセキュリティ対策や、システムの安全管理などが求められ、特に規模の小さい医療機関で、なかなかIT化を進められないといったことも課題となっています。
しかし、IT化は少しずつ進んでおり、厚生労働省の『電子カルテシステム等の普及状況の推移』によると、電子カルテを使用している割合は年々増え、令和2年度時点で一般病院では半数を超え57.2%となっています。
医療機関同士の情報共有や連携を強め、過疎化が進んだ地方でも一定の水準以上の医療が提供できるよう、医療におけるIT化は今後さらに必要性が高まるでしょう。
(参考:厚生労働省『医療分野の情報化の推進について』)
紙での情報管理や、主な連絡手段が電話など、IT化が進んでいない建設業。人手不足も深刻な問題です。国土交通省では、「ITの活用等による工程管理の徹底、元請・下請間を含めた企業間取引のIT化など、経営効率化に向けた取り組みを進めることが急務」とし、電子商取引などに向けた法改正や業界における標準化を進めています。
IT化の事例では、3次元で形を再現する3D-CADの導入が代表的です。加工作業の内容を把握しやすくなったことで、業務の効率化につながっています。建設現場のIT化では、タブレットの利用など「携帯性」もポイントとなるでしょう。
(参考:国土交通省『建設業におけるITの活用について』)
IT化を進めるときは、どのようなポイントに気をつけるとよいでしょうか。ここからは、IT化の進め方やポイントについてご紹介します。
まず、自社が抱える課題を明確にしておきましょう。「人手不足」「業務状況を把握しにくい」など、大きな問題から小さな懸念点まで書き出しておきます。表面化していない問題を洗い出すため、社員にアンケートをとるのもよいでしょう。
課題を整理して、IT化に取り組む範囲を定めましょう。課題解決の優先順位を決めて、一つずつIT化を進めることがポイントです。社内にITについて詳しい人材がいない場合は、外部にコンサルティングを頼むことも方法の一つでしょう。
自社が目指すIT化に適したサービスを選びます。テレワークに役立つ情報共有ツールや、バックオフィス業務を効率化する労務管理システムなど、IT化をサポートするサービスは無料から有料のものまでさまざまです。
セキュリティ対策のほか、「他サービスとの連携」「スマートフォンで確認できる」などさまざまな視点から、自社に合った特色を持つツールやサービスを選ぶことが大切です。
中小企業庁では、「IT導入補助金」や「ものづくり・商業・サービス補助金(デジタル枠)」などの補助金制度を設け、企業のIT化をサポートしています。「IT導入補助金」の「通常枠」では、ITツールの導入にかかる費用の一部を補助しており、B類型で最大450万円(補助率1/2以下)まで受け取ることが可能です。
(参考:中小企業庁『中小企業生産性革命推進事業について』)
(参考:一般社団法人 サービスデザイン推進協議会『IT導入補助金2022』)
さまざまな例をご紹介してきましたが、まずは身近にできるIT化から始めることも方法の一つです。フリープランもある情報共有ツール「welog」は、次のような特徴があります。
・ITが苦手な人にも使いやすいシンプルな操作性
・クラウド上で情報を一元管理
・社内の情報共有を効率化
クラウドに社内の情報を集約することで、状況把握やメンバー間の共有などの工数削減に役立てることができるでしょう。
ここでは、welogを導入してIT化を促進した事例を2つご紹介します。
金属加工業を営む株式会社公精プラントでは、紙で資料管理を行うなどアナログな手法が主流でしたが、感染症の流行をきっかけにIT化へ向けて一念発起。welog導入後は、情報が一つの場所に集約され、社内の共有が活性化しています。
また、バックオフィスが過去に作成したExcelファイルの、welogへの置き換えを実行。これまでバックオフィスに依頼する必要があった文書の作成や編集を、現場の担当者が直接できるようになったことで、社内のムダなやり取りが減り業務が効率化しました。
関連記事:事例紹介『株式会社公精プラント|現場と事務とのやり取りの往復が、welogで消えました』
新星印刷株式会社は、社内のサーバーに外出先からアクセスができないため、日報や報告書の確認に遅れが生じてしまうことに、課題を感じていました。welogの導入後は、出張先や自宅からのアクセスが可能に。確認やフィードバックがタイムリーにできるようになり、業務の進行がスムーズになりました。
Chatworkと連携し、ノートを共有するなど業務連絡も効率化。welogのテンプレートを使って簡単に資料が作成できるため、ミーティングをする際に議事録を残す習慣ができたなど、さまざまなメリットを感じているようです。
関連記事:事例紹介『新星印刷株式会社|働き方改革と情報共有の効率化が同時に達成できました』
「welog」には30日間の無料トライアルがあり、期間終了後も10アカウントまでなら無料で継続利用できるフリープランがあります。マニュアルの作成を考えている方は、「welog」をぜひ試してみてはいかがでしょうか。
「welog」の無料登録はこちらからできます。
人手不足などのリスクを回避し、ビジネスチャンスを広げるIT化。ネックとなる初期投資については、補助金の利用や、welogなど無料プランのあるツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。自社の目指す姿について、社員とコミュニケーションをとりながら、一歩一歩IT化を実現していきましょう。