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近年、AI(人工知能)の進化により、私たちの生活やビジネスに大きな変化がもたらされています。その中でも、文章を自動生成するAI技術は、コンテンツ制作やマーケティング、カスタマーサポートなど、さまざまな分野で活用されています。
特に、OpenAIが開発した「ChatGPT」は、その高い文章生成能力から注目を集めています。
しかし、その能力を最大限に引き出すためには、「プロンプト」という重要な要素を理解し、適切に設定することが求められます。
本記事では、ChatGPTのプロンプトについて解説し、その活用法や注意点を解説します。また、具体的な活用例を通じて、プロンプトの設定方法を学びます。
これから生成AIを活用しようと考えている方、すでに活用しているがより効果を上げたい方、そして、プロンプトの活用法を社内で共有したい方に向けて、本記事をお読みいただければ幸いです。
プロンプトとは、一言でいうと、AIに対する「指示」や「要求」のことを指します。これは、AIに何を行わせるか、どのような結果を出力させるかを指定するための入力値となります。
例えば、ChatGPTに対して「天気予報を教えて」というプロンプトを入力すれば、AIはその要求に応じて天気予報に関する文章を生成します。また、「シェイクスピア風の詩を作って」というプロンプトを入力すれば、シェイクスピア風の詩を生成するでしょう。
プロンプトは、AIの出力結果を大きく左右します。そのため、適切なプロンプトを設定することは、AIの性能を最大限に引き出すために非常に重要です。
次の章では、生成AIでのプロンプトの重要性について解説します。
生成AI、特にChatGPTのような高度なAIは、プロンプトに基づいて非常に自然な文章を生成することができます。
しかし、その性能を最大限に引き出すためには、適切なプロンプトの設定が不可欠です。
プロンプトの重要性は、以下の3つの点で特に顕著です。
プロンプトはAIの出力結果を直接左右します。明確で具体的なプロンプトを設定することで、AIはより正確で自然な文章を生成することができます。
適切なプロンプトを設定することで、AIは必要な情報を一度に提供することができます。これにより、人間が行う作業の時間を大幅に節約することが可能となります。
プロンプトはAIの行動を制御するためのツールです。そのため、プロンプトを変えることで、AIの出力結果を自由に変えることができます。これにより、AIはさまざまなタスクに対応することが可能となります。
プロンプトの設定は一見簡単そうに見えて、実は難易度が高い作業でもあります。AIは人間のように柔軟な思考を持っているわけではなく、入力されたプロンプトの通りにしか動作しないからです。
そのため、プロンプトの設定には、AIの特性を理解し、その特性に合わせた表現を選ぶことが求められます。また、プロンプトは明確で具体的であるほど、AIは正確な結果を出力することができます。
この章では、話題のプロンプトについて詳しく解説します。
株式会社エキスパート代表取締役・プロンプトエンジニアの七里さんが考案したプロンプトです。
”「プロンプト8+1の公式」”でプロンプトを作成してくことで、ChatGPTはより意図にあった内容を返してくれます。
必要な部分を抜き出し、作成していきます。
【作成ポイント】
1.前提条件: タイトル、依頼者、制作者、目的を提示、方向性指示
2.対象プロファイル: 対象のプロファイルを提示して回答精度上げる
3.参考情報: 回答を作成するために情報を示す
4.名詞と動詞: 何をすべきかを名詞と動詞を使って指示
5.形容詞: 形容詞や副詞を使用して回答の精度を上げる
6.出力形式(文字): 回答の形式を、文字ベースで指定
7.出力形式(形): 回答の形式を、構造をテキストで指定
8.スタイル: 使用する言葉のスタイルやトーンを定義
+1.追加指示: 再度指示で精度が上がる、繰り返しできる
(出所:生成AIプロンプト研究所)
https://exp-p.com/
このように、トーンなども指示することで、より人間味のある回答が可能になります。
noteのCXO・株式会社THE GUILD代表取締役の深津貴之さんが考案したプロンプトです。
深津貴之さんは神奈川県横須賀市のAI戦略アドバイザーに就任しています。横須賀市は深津さんを迎え、職員のスキル向上プログラムや他の自治体向け研修プログラムなどを開発しています。
深津式プロンプトはChatGPTへ役割を割り振り、条件をつけ、命令することで精度の高い返事が返ってきます。
【作成ポイント】
「#命令書」「#制約条件」「#入力文」「#出力文」
このようにマークアップ言語を使い、ChatGPTが理解しやすいようになっています。
他には例として以下があります。
見出し:「#」
「#」の数が小さいほど大きな見出しを意味します。
変数:「{{ }}」
プロンプトを使いまわす際に便利です。本文、タイトルなど変動する部分に使うと便利です。
リスト:「-」
箇条書きの際に使います。
強調:「**」
強調したい部分があるときに使います。
プロンプトの活用は、生成AIの可能性を広げます。以下に、具体的なプロンプトの活用例をいくつか紹介します。
「ブログ記事のタイトルを考えて」というプロンプトを設定すると、AIはブログ記事のタイトルを生成します。これにより、コンテンツ制作の時間を節約することができます。
「商品の使い方を説明して」というプロンプトを設定すると、AIは商品の使い方に関する説明を生成します。これにより、カスタマーサポートの効率を向上させることができます。
「新製品のプレスリリースを作成して」というプロンプトを設定すると、AIは新製品のプレスリリースを生成します。これにより、マーケティング活動を効率化することができます。
これらの例からわかるように、プロンプトを活用することで、生成AIはさまざまなタスクを効率的に行うことができます。
今回はプロンプトエンジニアではない社員が七里さんの七里式プロンプトを参考に「情報共有ツールの基礎講座」というセミナーを紹介するメールを作成してみます。
GPT3.5、GPT4でそれぞれ見ていきましょう。
##前提条件
**タイトル**{情報共有ツールの基礎講座}を紹介するための魅力的なメール文章作成
**依頼者条件**情報共有ツールというツールの営業担当である
**制作者条件**マーケティングやプロモーションの経験がある。情報共有ツールの使い方が分からない人へ分かりやすく説明ができる。セミナーに参加することで得られるメリットを伝えられる。
**目的と目標**{情報共有ツールの基礎講座}のセミナー参加者を増やし、効果的なメールタイトル、簡潔な文章が必要である。
##対象者プロファイル
**職種**マーケティング担当者やHPを運営する個人事業主
##参考情報
-セミナー名${HP作成ツールの基礎講座}
-セミナー情報””2024年1月1日””,””10:00~11:00″”
-開催場所””teamsにて開催””
-参加費用””無料””
-集客方法””メール””
-参加方法””メールに返信””
##回答指示
##対象者プロファイルに対して、##参考情報を基に${HP作成ツールの基礎講座}を紹介するメール文を作成して
##スタイル
**ビジネス向けの文章で作成して**
**メールの件名は25文字まで**
件名: 【無料セミナー】情報共有ツール基礎講座へのご招待!
拝啓、○○様
いつもお忙しい中、貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございます。
弊社では、情報共有ツールの基礎講座を開催する運びとなりましたことを、心よりお知らせ申し上げます。
【情報共有ツール基礎講座】は、情報共有ツールをこれから導入しようとお考えのマーケティング担当者や個人事業主の方々を対象としたセミナーです。情報共有ツールの基本的な使い方から、効果的なHP構築のポイントまで、分かりやすく解説いたします。
日時: 2024年1月1日(土)10:00~11:00
場所: Teamsにてオンライン開催
参加費用: 無料
情報共有ツールの利用方法が分からない方も安心してご参加いただけます。専門講師が丁寧にご指導いたしますので、初心者の方でもご安心ください。
この機会に、情報共有ツールを活用してビジネスの可能性を広げませんか?ご参加いただくことで、ホームページの運用効率が向上し、ビジネスにおける競争力を高めることができます。
お申し込み方法は簡単です。本メールにご返信いただくか、以下の連絡先までお問い合わせください。
【情報共有ツール基礎講座】へのご参加、心よりお待ちしております。
敬具、
[お名前]
情報共有ツール営業担当
[会社名]
[連絡先]
プロンプトの内容を取り入れ、メール文の作成ができました。
少し修正すれば使えそうです。
件名: 新年、新スキル: 情報共有ツール基礎講座
拝啓
新しい年を迎え、新たなスキル習得に最適な機会を提供いたします。私たちは、マーケティング担当者やHPを運営する個人事業主の皆様に向けて、「情報共有ツールの基礎講座」を開催いたします。
講座概要:
・名称: 情報共有ツールの基礎講座
・日時: 2024年1月1日 10:00~11:00
・場所: Online (Teamsにて開催)
・参加費用: 無料
本講座で学べること:
・情報共有ツールの基本的な使い方と設定
・効果的なコンテンツ作成と管理方法
・サイトのカスタマイズと拡張機能の活用
・SEOとユーザー体験向上のためのヒント
なぜ参加すべきか?
・業界標準のCMSスキルを習得し、自身の価値を高めます。
・サイト運営の効率化と成果の最大化を図ることができます。
・無料で参加でき、短時間で実践的な知識を身につけることができます。
参加をご希望の方は、本メールにご返信ください。席には限りがございますので、お早めにお申し込みください。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。
敬具
[お名前]
[職位]
[情報共有ツール営業チーム]
GPT-4では1月1日という点も理解し、件名に「新年」という言葉や本文に「新しい年を迎え」という言葉が使われています。
もう少しビジネス調に修正したいので、追加で””日本のビジネスメールのように作成して””と指示します。
↓
件名: 『情報共有ツール基礎講座』無料開催のご案内
拝啓 新春の候
貴社におかれましては、益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。
さて、この度はマーケティング担当者様やHPを運営されている個人事業主様を対象に、情報共有ツールの基礎から学べる特別講座『情報共有ツール基礎講座』の無料開催をご案内申し上げます。
講座詳細:
・講座名: 情報共有ツール基礎講座
・開催日時: 2024年1月1日 10時より11時まで
・開催場所: オンライン(Microsoft Teamsを使用)
・参加費: 無料
講座のポイント:
・情報共有ツールの基本的な操作方法から応用技術まで、幅広い知識を習得。
・効果的なウェブサイト運営のための戦略を学ぶ。
・実践的なスキルを短時間で習得し、ビジネスに活かす。
ご参加いただくメリット:
・ウェブサイト運営に必要な基本スキルを無料で学べる絶好の機会。
・時間を有効活用し、実践的な知識を習得。
・自社サイトの価値向上に直結する知識を得られる。
ご興味のある方は、本メールへのご返信にてお申し込みください。定員に限りがございますので、お早めにご登録いただけますと幸いです。
貴社の一層のご発展を心よりお祈り申し上げます。本講座への多数のご参加を心よりお待ちしております。
敬具
[ご担当者様名]
[ご担当者様の役職・部署名]
情報共有ツール営業チーム
「新春の候」という季節感を出しつつ、セミナーに参加するメリットを伝えられるメール文ができました。
GPT4では、席数、定員はプロンプトに含めていないのですが、「席には限りがございます」や「定員に限りがございます」が追加されています。
不要な部分を削除する作業は必要ですが、雛形としては使えるものが作成できました。
プロンプトエンジニアでなくても、テンプレートに沿って作成していけば土台となる部分は、安定した品質かつ効率的に作成できるようになります。
プロンプトを設定する際には、以下のような注意点を考慮すると良いでしょう。
プロンプトは、AIに対する指示です。そのため、明確で具体的なプロンプトを設定することが重要です。あいまいなプロンプトを設定すると、AIは期待する結果を出力できない可能性があります。
AIは人間のように柔軟な思考を持っているわけではありません。そのため、AIに不可能なタスクを求めるプロンプトを設定すると、AIは適切な結果を出力できません。
AIは訓練データに基づいて文章を生成します。そのため、訓練データが不適切であった場合、AIは不適切な結果を出力する可能性があります。
AIは倫理的な判断をする能力を持っていません。そのため、倫理的に問題のあるプロンプトを設定すると、AIは倫理的に問題のある結果を出力する可能性があります。
これらの注意点を理解することで、プロンプトを適切に設定し、生成AIの力を最大限に引き出すことができます。
次の章では、プロンプトの設定方法を社内で共有する方法について解説します。