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皆さんはAI(人工知能)について聞いたことがありますか?昨今よく耳にするAIは今も進化しています。
AIは今、私たちの生活のあらゆる面で活躍しています。今回は、その中でも「生成AI(ジェネレーティブAI)」について、その基本的な知識から活用例、メリット・デメリットまで詳しく解説していきます。
生成AI(ジェネレーティブAI)とは、人間の創造性を模倣するAIのことを指します。
つまり、人間が作り出すような新しいコンテンツをAIが生成することができるのです。例えば、絵を描いたり、文章を書いたり、音楽を作ったりすることが可能です。これまでに存在しなかった新しい情報を、既存のデータから引き出すことも可能です。これらの能力により、生成AIは広範な分野で活用されています。
生成AIは、大量のデータから学習し、その学習結果をもとに新しいコンテンツを生成します。
この学習方法は「深層学習」と呼ばれ、人間の脳の神経回路網を模倣したものです。生成AIはこの深層学習を用いて、人間が持つ創造性を模倣します。つまり、生成AIは人間が経験や知識から新しいアイデアを生み出すのと同じように、学習したデータから新しいコンテンツを生み出すことができます。
既存AIと生成AIの違いは、主にその目的と機能にあります。
既存AIは、主に特定のタスクを解決するために設計されています。例えば、画像認識AIは画像から特定のオブジェクトを識別すること、音声認識AIは音声をテキストに変換すること、推奨AIはユーザーの過去の行動に基づいて商品やサービスを推奨することなどが目的です。これらのAIは、特定の問題を解決するために設計されており、その範囲外のタスクを実行することはできません。
一方、生成AIは、大量のデータからパターンを学習し、それを基に新しいコンテンツを生成することが目的です。テキスト、画像、動画、音楽、など、さまざまな形式のコンテンツを生成することができます。また、人間が行う創造的な作業を自動化することが可能で、新しいアイデアを生み出すことができます。
しかし、その出力が必ずしも正確であるとは限らず、また倫理的な問題を引き起こす可能性があるため、生成AIの活用には注意が必要です。
【画像生成AI】
画像生成AIとは、AIが学習した画像データを基に新しい画像を生成する技術のことを指します。例えば、ある特定のスタイルの絵画を学習させると、そのスタイルに基づいた新しい絵画を生成することができます。また、人の顔の特徴を学習させると、実在しない人物の顔を生成することも可能です。これらの技術は、エンターテイメントや広告、ゲーム開発など、さまざまな分野で活用されています。
【テキスト生成AI】
テキスト生成AIとは、AIが学習した文章のパターンを基に新しい文章を生成する技術のことを指します。例えば、特定のジャンルの小説を学習させると、そのジャンルに基づいた新しいストーリーを生成することができます。また、ニュース記事を学習させると、新しいニュース記事を生成することも可能です。これらの技術は、ニュース作成やコンテンツマーケティング、SNSの投稿など、さまざまな分野で活用されています。
【動画生成AI】
動画生成AIとは、AIが学習した動画のフレームを基に新しい動画を生成する技術のことを指します。例えば、特定の映画のシーンを学習させると、その映画のスタイルに基づいた新しいシーンを生成することができます。また、スポーツの試合の映像を学習させると、新しい試合のシーンを生成することも可能です。これらの技術は、映画制作やスポーツ分析、VR(仮想現実)コンテンツの作成など、さまざまな分野で活用されています。
【音声生成AI】
音声生成AIとは、AIが学習した音声データを基に新しい音声を生成する技術のことを指します。例えば、特定の人の声を学習させると、その人の声に似た新しい音声を生成することができます。また、特定の楽器の音を学習させると、その楽器の音に基づいた新しいメロディを生成することも可能です。これらの技術は、音楽制作や音声合成、音声認識システムなど、さまざまな分野で活用されています。
“東京都では昨年8月に「文章生成AI利活用ガイドライン」を策定し、テキスト生成AIの全局利用を開始しました。
その後、職員を対象に実施した利用状況のアンケート結果から、プロンプトに関するサポートや、質問内容のテンプレート化に関して要望があったことから、文章生成AIの一層の利用を促進するため、活用事例集を作成しました。”
https://digi-acad.metro.tokyo.lg.jp/contents/001-00036.html
(出所:2024.02.9 文章引用、URL:東京都デジタルサービス局ホームページより)
”株式会社ベネッセコーポレーション(本社:岡山県岡山市、代表取締役社長:小林 仁、以下「ベネッセ」)とソフトバンクロボティクス株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長 兼 CEO:冨澤 文秀、以下「ソフトバンクロボティクス」)は、生成AIを搭載した幼児向け会話型新サービスAI「しまじろう」を共同開発しました。”
”AI「しまじろう」は、専用のスマートフォンアプリと、スマートフォンをホールドできる専用の「しまじろうぬいぐるみ」を組み合わせて使用します。しまじろうの声を再現したAI「しまじろう」とお子さまが自由に会話できる「おしゃべり」機能や、お子さま一人でも飽きずに取り組める「あそび」機能などを搭載しています。さらに、会話中のお子さまの感情や興味の動きについて、保護者の方に専用サイトでレポートします。 ”
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000115.000069393.html
(出所:2024.02.27 文章引用、URL:PR TIMESより)
”株式会社ティファナ・ドットコム(本社:東京都目黒区代表取締役社長:藤井 亮)が提供している人工知能(AI)接客システム「AIさくらさん」が、2024年1月からJR山手線の3駅(大崎駅・新橋駅・目黒駅)に新たに導入され、駅を利用されるお客様へのご案内を開始しました。”
”「AIさくらさん」は、JR東日本グループが2018年から実施している「案内AIみんなで育てようプロジェクト」にてJRでの実証実験に参加し、これまで東京駅をはじめ多数の駅でお客様のご案内を行ってきました。”“2022年7月からは、山手線4駅(品川駅・渋谷駅・池袋駅・秋葉原駅)に導入され、インバウンドのお客様への対応や、遠隔からの非対面での接客などのサービス拡大を進めてまいりました。2024年1月からは、品川駅・渋谷駅・池袋駅で引き続きご案内を行いつつ、新しく山手線3駅に導入され、各駅でのお客様案内対応の向上を図っていきます。新しく3駅に設置された「AIさくらさん」は、駅構内や周辺情報などの基本的な案内の他、駅係員がビデオ通話で遠隔による接客が可能なAIさくらさんシリーズの「アバター接客さくらさん」を搭載しています。
インバウンド需要にも対応し、日本語・英語・中国語(簡体字・繁体字)・韓国語の4か国語でご案内も可能です。”
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000121.000060004.html
(出所:2024.02.27 文章引用、URL:PR TIMESより)
【メリット】
生成AIは人間が行う作業を自動化することができます。例えば、記事の作成やデザインの提案など、これまで人間が行っていた作業をAIが行うことで、時間を節約することができます。
生成AIは大量のデータから新しいアイデアを生み出すことができます。これにより、人間が思いつかなかった新しいアイデアを得ることができます。
人間が行う作業をAIが代行することで、人件費などのコストを削減することが可能です。
一貫性の確保:AIは人間と違い、疲れることなく一定の品質で作業を行うことができます。これにより、作業の一貫性を確保することができます。
AIは人間よりもはるかに大量のデータを高速に処理することができます。これにより、大量のデータから新しい知見を得ることが可能です。
【デメリット】
生成AIが生成するコンテンツは、必ずしも正確であるとは限りません。特に、テキスト生成AIが生成する文章は、文法的には正しくても内容が正確でない場合があります。
生成AIが生成するコンテンツは、倫理的な問題を引き起こす可能性があります。例えば、人間が作成したコンテンツを無断でコピーしたり、実在しない人物の顔を生成したりすることは、著作権やプライバシーの問題を引き起こす可能性があります。
生成AIは、人間の感情や直感を理解することが難しいです。そのため、人間の感情を必要とするようなコンテンツ生成には限界があります。
生成AIの活用が進むと、その技術に過度に依存する可能性があります。これにより、AIが誤った情報を生成した場合でもそれをそのまま受け入れてしまう可能性があります。
生成AIの出力は、学習に使用したデータの質に大きく依存します。不適切なデータを学習させると、それがそのまま出力結果に反映されてしまいます。
生成AIの得意なことは、大量のデータからパターンを見つけ出し、それを基に新しいコンテンツを生成することです。
これにより、人間が思いつかなかった新しいアイデアを生み出すことが可能です。また、人間が行う作業を自動化し、時間を節約することも得意としています。
一方、生成AIの苦手なことは、人間の感情や直感を理解することです。AIは論理的な処理が得意ですが、人間の感情や直感、創造性を完全に理解し模倣することは難しいです。
また、生成AIが出力した結果を評価する能力は限定的であるため、最終的な評価は人間が行う必要があります。さらに、倫理的な判断をすることも苦手としています。例えば、生成AIが生成するコンテンツが著作権を侵害していないか、プライバシーを侵害していないかなど、倫理的な問題を判断することは難しいです。
”AIの安全性に対する国際的な関心の高まりを踏まえ、AIの安全性の評価手法の検討等を行う機関として、米国や英国と同様に、日本においても、AIセーフティ・インスティテュートを本日設立した。同機関は、内閣府をはじめ関係省庁、関係機関の協力の下、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)に設置され、諸外国の機関とも連携して、AIの安全性評価に関する基準や手法の検討等を進めていく。”
(出所:内閣府ホームページより引用)
AIセーフティ・インスティテュートは、AIの安全性と倫理性に関する研究と教育を行う組織のことを指します。
AIの開発と利用が急速に進む中で、AIが人間社会に与える影響を理解し、AIのリスクを最小限に抑えるためのガイドラインや規制の策定、AIの安全性に関する研究、AIの倫理的な使用についての教育などを行っています。
AIセーフティ・インスティテュートは、AIの技術者、研究者、政策立案者、一般市民など、さまざまなステークホルダーに対して情報提供や教育を行い、AIの安全性と倫理性を高めることを目指しています。また、AIの未来に関する公開討論の場を提供し、AIの社会的な影響についての理解を深めることも重要な役割としています。
■AIセーフティ・インスティテュート ホームページ
https://aisi.go.jp/
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/ai_network/02ryutsu20_04000019.html
(出所:総務省ホームページより)
総務省の「AI開発ガイドライン」、「AI利活用ガイドライン」、経済産業省の「AI原則実践のためのガバナンス・ガイドライン」を統合・見直し、人間中心のAI社会原則を土台として作成されているのが「AI事業者ガイドライン」です。
経済産業省のAI事業者ガイドラインは、AIの利用に関する倫理的な問題について考慮すべきポイントを示したものです。AIの開発や利用に関わる事業者が、AIの社会的な影響を理解し、適切な利用を推進するための参考となるように作られています。
具体的には、AIの透明性、説明可能性、利用者のプライバシーや個人情報の保護、AIの安全性や信頼性、AIによる影響を受ける人々の権利の尊重など、AIの開発や利用において重要とされる要素について、具体的な行動指針や考慮すべきポイントが示されています。
また、ガイドラインは定期的に見直され、AIの技術進歩や社会状況の変化に応じて更新されることが想定されています。これにより、事業者は最新の情報に基づいてAIの適切な利用を進めることができます。
2024年2月19日までパブリックコメントを募集し、正式版作成を目指しています。
生成AIを活用する際には以下のような注意事項があります。
正確性の確認:生成AIが出力した結果が必ずしも正確であるとは限らないため、その出力結果を鵜呑みにせず、常に人間の目で確認することが重要です。
倫理的な問題
生成AIが生成するコンテンツが倫理的な問題を引き起こす可能性があります。例えば、人間が作成したコンテンツを無断でコピーしたり、実在しない人物の顔を生成したりすることは、著作権やプライバシーの問題を引き起こす可能性があります。そのため、生成AIの出力結果が倫理的に適切であるかどうか、注意深く見極める必要があります。
データの質
生成AIの出力は、学習に使用したデータの質に大きく依存します。不適切なデータを学習させると、それがそのまま出力結果に反映されてしまいます。そのため、適切なデータを用いて学習を行うことが重要です。
依存度の高まり
生成AIの活用が進むと、その技術に過度に依存する可能性があります。これにより、AIが誤った情報を生成した場合でもそれをそのまま受け入れてしまう可能性があります。そのため、AIの出力結果に対する適切な評価と監視が必要です。
法規制の遵守
AIの利用には法規制が伴います。そのため、生成AIを活用する際には、関連する法規制を遵守することが必要です。
生成AIの注意点を理解し、正しく活用することで業務の効率化につながります。