こちらのコラムでは、無料で使える情報共有のためのビジネスノートツール「welog(ウィーログ)」の運営スタッフが、ビジネスにおける情報共有やナレッジマネジメントについて発信しています。少しでも皆さまのお役に立てれば幸いです。
目次
事業や業務の中で実施した、さまざまな調査の結果をまとめた「調査報告書」を作成する機会のある方は多いでしょう。依頼された調査の結果をわかりやすく報告するためには、どのように調査報告書を作成すればよいのでしょうか。今回は、調査報告書の基本的な項目や書き方を、例文付きでわかりやすくご紹介します。調査報告書の効率的な作成につながるテンプレートも複数掲載しているので、作成にお役立てください。
「welog」は、メンバーのノウハウやナレッジを見える化することで
中小企業の属人化問題を解決するドキュメント共有ツールです。
調査報告書(英語名:research report、investigative report)とは、依頼内容に基づいて実施した調査の結果をまとめた文書です。企業で作成される調査報告書には、パワーハラスメントを含むハラスメント等の実態調査報告書や、不具合の状況を調査した報告書、新商品開発における市場調査の報告書など、さまざまなものがあるでしょう。
調査報告書は、何らかの課題や問題の解決を前提に作成するもので、「報告して終わり」ではなく、調査結果をその後の事業運営などに活かすのがその狙いです。
調査報告書の作成は、基本的に以下のステップに基づいて行います。
1.調査事案の発生
2.調査内容の決定
3.調査の実施
4.確認・点検
5.調査報告書の作成
調査が必要な事案が発生したら、その課題に対して、どのような部分を明らかにしたいのか、調査の目的を明確にします。例えば、商品に対する競合調査であれば「マーケティング戦略の再検討が必要かを明らかにしたい」「HPやサイトの改善が必要かどうかを検討する材料がほしい」といった具合です。
目的が明確になったら、それを達成するために最適な調査方法を検討します。調査にはさまざまな手法があるため、「個別のヒアリング」「大規模ターゲットを対象としたアンケート」「過去のデータに基づく分析」などから、目的にあった調査手法や実施範囲を定めていきます。
調査計画に基づき調査を実施したら、調査の漏れがないかを確認し報告書を作成しましょう。報告書としてまとめるのはステップの最後ですが、報告書へのまとめ方を考えることは、必要な調査を漏れなく行うための指針にもなるでしょう。
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報告書の上部には、タイトルを記載します。タイトルは、実施調査について簡潔に表す一文です。ただし、報告書の種類や内容、対象となる読み手によってもタイトルの付け方は異なります。
例えば、社内におけるハラスメントなどの内部調査を実施したケースでは、「◯◯部署における、パワーハラスメントの実態調査報告書」など、調査の概要のみを記載するのが一般的です。
他方で、プレスリリースのように調査結果を広く一般に公開するといった場合は、より読み手の興味を引く工夫が必要です。結果の一部の数値をタイトルにつけるなど、想定している読者に読みたいと感じさせるキーワードを入れて作成します。
【例1】
2022年夏季における、〇〇(商品名)の売上推移に関する調査報告書
【例2】
オフィス内の省エネ施策の実施状況に関する調査報告書
タイトルの下の部分には、調査の趣旨や目的を簡潔に記載します。
【例1】
2023年夏季に発売開始予定の新商品〇〇のヒットに向け、本年度の同時期における購入状況や購入者の傾向を明らかにすることを目的とする。
【例2】
2023年夏季に向けて、オフィス内で実施する省エネ施策の検討材料とする。
調査趣旨の下部には、調査概要を記載します。調査概要はその調査がどのように実施されたのかを説明するもので、一般的には以下の内容を記載します。
・調査時期(調査日・期間)
・調査対象(個人/複数・人数・属性 など)
・調査方法(聞き取り・アンケート・郵送/Web など)
【例1】
調査時期:2022年10月1日~5日
調査対象:都内にある〇〇(商品名)を取り扱う店舗、無作為抽出による50店舗
調査方法:購買データによるPOS分析
【例2】
調査時期:2022年7月1日~7日
調査対象:A社B支店に所属する全社員80名
調査方法:Webアンケート
調査内容が複数にわたるなど、報告書の内容が多くなる場合は、結果を大まかに説明した概要(要旨)を記載します。
概要は、その部分を読めば調査結果の内容がおおよそ理解できるように記載することがポイントです。読み手が最も知りたいポイントを押さえて、数行程度で記載しましょう。
【例1】
購買データから、購入に影響を与える要因は「要件A」「要件B」「要件C」の3点であることが判明した。特に、「要件C」については店舗により独自の工夫を行う予知があると言える。「要件C」について、今後更に詳細な分析を実施することが売上向上につながると予測される。
【例2】
省エネ施策のうち、冷房の設定温度を遵守している部署は約9割に迫ったものの、軽装の促進に関しては、部署による差があるのが現状となった。特に顕著な差が認められたのは「営業部」と「経理部」で、35ポイントの差が見られた。省エネ施策をより浸透させるためには、〇〇や△△が重要となることが示唆された。
調査詳細では、調査内容と結果を項目ごとに具体的に記載します。必要に応じて見出しを分けて記載するとわかりやすいでしょう。調査詳細でも、読み手が結果を把握しやすいよう、簡潔に要点をまとめて記載することがポイントです。また、専門用語をなるべく使わずに記載することを心がけるとよいでしょう。
【例1】
結果1.〇〇の購入状況
2022年4月1日〜8月31日までの期間における、店舗ごとの〇〇の売上数を集計したところ、以下のような結果が得られた。
<売上の詳細>
~~~~~~~~
(グラフや表を利用し、売上結果を記載します。)
結果2.購入数に影響を与える要因の分析
〇〇の売上数を、「A」「B」「C」の要件ごとに分析すると、以下の結果が得られた。
要件1.~~~~~~
要件2.~~~~~~
要件3.~~~~~~
(グラフや表を利用し、結果を記載します。)
【例2】
結果1.部署ごとの省エネ施策実施状況
1‐1.冷房温度設定の遵守の状況
~~~~~
(グラフや表を利用し、結果を記載します。)
1‐2.軽装の実施状況
~~~~~
(グラフや表を利用し、結果を記載します。)
所感とは、「調査結果を根拠として、今後の戦略や改善方法に関して調査担当者の見解を述べたもの」です。とは言え、所感は感想とは異なります。あくまで客観的事実から考察した内容を記載することが求められ、調査結果から飛躍して根拠のない事柄を記載してはいけません。
【例1】
〇〇の売上に最も影響を与えていたのは「B要件」であることから、▲▲や、◆◆等が売上を左右すると推測できる。●●や■■に注力することが、売上の向上に有効な手段となることが考えられる。
【例2】
省エネ施策のうち、冷房の設定温度はすでに社内に浸透しており、今後施策をより浸透していくには●●が重要であることが示唆された。▲▲については今後さらに分析をすすめ、効果的な対策を講じていくことが必要と考えられる。
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調査報告書の作成では、調査結果や事実を読み手が理解できるように作成することが大切です。そのために、いくつかのポイントを押さえていきましょう。
調査報告書は、その結果に基づいて今後の戦略や展開、施策を検討するための、重要な指標となります。そのため、客観的な事実を正確に記載することが求められます。
まずは、実施した調査からどのような結果が導かれたのかを簡潔に記載しましょう。さまざまなバイアスを排除し、私見を交えずに記載することが大切です。
読み手の理解を促す手段として、数値などの定量情報にグラフや表を活用するという方法があります。グラフ等で記載することで、変化や違い、量などが一目瞭然となり、わかりやすい報告書を作成できるでしょう。
情報伝達や課題発見・解決のフレームワークの一つである5W3Hは、調査報告書の記載でも不可欠です。
・What:何を(目的、課題)
・Why:なぜ(理由、動機)
・Who:誰が(対象)
・When:いつ(時期、時間帯)
・Where:どこで(場所)
・How:どのように(手段・方法)
・How Many:どのくらい(規模)
・How Much:いくらで(価格)
例えば「What」や「Why」は、調査報告書のはじめに記載する「目的」や「課題」にあたります。また、「Who」「When」「How」などの要素は、調査の概要として記載されることが多いでしょう。このように、調査報告書は、5W3Hの要素から組み立てることができます。逆に言えば、以下の要素が欠けていると、報告書として不十分である可能性が考えられます。作成した調査報告書の確認時は、5W3Hの要素が抜けていないかという視点で、確認してみるとよいでしょう。
調査報告書には、テンプレートを活用することで効率的な作成が可能となります。無料で利用できる、調査報告書のテンプレートをご紹介します。
welogで作成した調査報告書のテンプレートです。
(テンプレートのリンクはこちら)
「welog」は、ドキュメントの作成と社内・社外への共有に特化した情報共有ツールです。ムダを排除したシンプルな操作画面で、誰でも直感的に操作しながら報告書を作成できます。テンプレート機能を活用すれば、基本的な調査報告書をアレンジしながら、さまざまな調査報告書が作成可能です。
また、作成データはクラウドに保管されるため、報告や共有もボタンひとつで可能です。高度な検索機能を備えており、報告書にまつわる関連データの検索に時間を取られるということもありません。
調査報告書の作成には、10アカウントまで無料で利用できるwelogフリープランの活用をご検討ください。
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調査報告書の作成は、基本的な項目や書き方を押さえて、客観的な視点で簡潔に記載することが大切です。グラフや表などの視覚情報や、5W3Hといったフレームワークに当てはめて作成することで、読み手が見やすい報告書の作成につながるでしょう。今回解説した、調査記載例やテンプレートも参考にしながら、調査報告書を作成してみてはいかがでしょうか。