振り返りのフレームワークである「YWT」。仕事において振り返りを行い次の行動に活かすことは重要ですが、どのように振り返りを進めればよいのか、フレームワークとして認知度のある「KPT」との違いが分からない場合もあるでしょう。

今回は、YWTの概要やKPTとの違い、YWTのメリット・デメリットや進め方とそのポイントを紹介します。テンプレートや書き方の具体例も紹介しますので、YWTでの振り返りの際にお役立てください。

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YWTとは、日本能率協会コンサルティング（JMAC）が開発した、振り返りに用いるフレームワークです。「Y：やったこと」「W：わかったこと」「T：つぎにやること」の3つの単語の頭文字をとった言葉で、読み方は「ワイダブリューティ」と呼びます。

Y（やったこと）：実行したこと（事実・経験）

W（わかったこと）：学んだこと（内省）

T（つぎにやること）：次に取り組みたいこと（次の計画・行動）

上記のように、YWTは、実際に経験したことから学びを深め、次の行動に活かすというサイクルで成り立っています。YWTで振り返ることで、よかった点や問題点だけでなく、継続すべき点についてもわかるでしょう。

振り返りのフレームワークにはさまざまな種類があるため、どのフレームワークを使用すればよいのか悩む方もいるでしょう。ここでは、YWTと、認知度の高い手法である「KPT」との違いについて、「構成要素」「活用シーン」「目的」の視点から解説します。

関連記事：KPT法とは？振り返りの進め方やポイント、テンプレートや具体例を紹介

先述した通り、YWTは「Y：やったこと」「W：わかったこと」「T：つぎにやること」の3つの要素で構成されています。一方、KPTの構成要素は、「K：Keep」「P：Problem」「T：Try」の3つです。Keep（よかったこと・継続すること）・Problem（問題点・改善点）・Try（新しく挑戦すること）の3つの視点で振り返ります。YWTでは「やったこと」という事実から振り返りを始めるのに対して、KPTは、事実（結果）をベースとして、「よかったこと」や「問題点」といった、結果の解釈を起点として考察する点に違いがあるでしょう。

YWTには、業務を軸とした振り返りではなく、人を軸とした振り返りに多く使われるという特徴があります。それは、チームやプロジェクト単位の振り返りをYWTを使って行おうとすると、「やったこと」の内容が膨大になり、整理が難しくなるためです。そのため、YWTは、チームやプロジェクト単位の振り返りよりも、個人の経験を振り返る際に適した方法と言えるでしょう。YWTの具体的な活用場面には、「個人で掲げた目標の振り返り」や「日報の作成時」、「上司との面談や研修に対する振り返り」などが挙げられます。

一方、KPTは、チームやプロジェクトの振り返りに適した手法です。例えば、「チームの企画や施策」、「会議での振り返りやプロジェクトのグループワーク」などに向いています。

YWTの目的は、経験から得た自身の学びを落とし込み、自己の成長を促進することです。一方KPTは、目標達成や問題点の改善を目的としています。

経験を整理するための個人的な振り返りの場合はYWT法、チームやプロジェクトの改善を目指す場合はKPT法のように、目的に応じた使い方を意識するとよいでしょう。

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YWTのメリットは、振り返りをライトに行えることです。シンプルなフレームワークのため難しく考える必要がなく、チームでも個人でも簡単に振り返りを行えます。日本語の頭文字を取ったフレームワークであるため、振り返る際に何を書くべきなのかもわかりやすいでしょう。

先述した通り、YWTはシンプルなフレームワークです。振り返りをライトに行える一方で、振り返りの内容が深まりにくいことがデメリットとなります。自身で考えを深める必要があるため、振り返りに慣れるまではサポートが必要なケースもあるでしょう。

ここからは、具体的なYWTの進め方とそのポイントについて解説します。

最初のステップは、これまでに取り組んだことを客観的に記載することです。個人の主観は含めず、できるだけ事実を正確に記載しましょう。

これまでの取り組みを一度に全て思い出すのは難しいため、やったことは定期的にメモしておくのもポイントです。また、振り返る際は成功した取り組みだけでなく、失敗に終わったことも書き出し、振り返りに活かしましょう。

次に、やったことを通してわかったことについて、率直に書き出します。気がついたことや考えたことなどを、自分が感じたままに書き出すことがポイントです。失敗したことについても、そこからわかったことを書き出すことで自然と学びにつなげることができます。経験から何を学んだのかを意識して記載しましょう。

最後に、わかったことでの学びや気づきを基にして、次にやることを具体的に書き出しましょう。やったこと・わかったことを通して明確となった良い点は継続し、悪い点は改善案を考えます。

次回の振り返りでは、次にやることが「やったこと」になります。このように振り返りを継続して行うことで、個人の成長促進につながるのです。

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YWTでは、どのような内容を記載するとよいのでしょうか。新入社員に行うビジネスマナー研修の「電話応対」を具体例として紹介しますので、書き方の参考にしてください。

【やったこと（Y）の例】

・基本的な挨拶や話し方のワーク

・録音機器を用いた電話の受け方・かけ方の実践

【わかったこと（W）の例】

・電話を受ける・かける前にはメモ帳やペンなどを事前に準備しておくと便利

・正しい敬語や言い回しを練習することが大切である

・2トーン高い声を意識すると、電話の相手に好印象を与えられる

【つぎにやること（T）の例】

・電話機のそばにメモ帳とペンを常備しておく

・毎朝10分間、先輩と電話応対のロールプレイングを行う

・隣の席の同僚と電話応対について振り返る機会を定期的に設ける

ドキュメント共有ツール「welog」は、Word感覚で使える直感的な操作性を備えています。テンプレートを使い、誰でも簡単にYWT法のテンプレートを作成することが可能です。作成したノートはクラウド上で簡単に共有できるため、オンラインでYWT法を使う際にも役立ちます。こちらに「welog」を使ったテンプレートをご紹介しますので、ぜひご活用ください。  

（「welog」を使って作成したテンプレートはこちら）

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YWTとは、シンプルで使いやすい振り返りのフレームワークです。同じく振り返りの手法である「KPT」との違いは、YWTは経験を整理するための個人的な振り返り、KPTはチームやプロジェクトの改善を目指す場合に適している点になります。YWTは振り返りを手軽に行えるというメリットがある一方、振り返りの内容が深まりにくいことがデメリットとなるでしょう。

ここで紹介したYWTの具体的な進め方やテンプレート、書き方の具体例を参考に、振り返りの内容に合わせてYWTを活用し、振り返りを進めてみてください。