こちらのコラムでは、無料で使える情報共有のためのビジネスノートツール「welog(ウィーログ)」の運営スタッフが、ビジネスにおける情報共有やナレッジマネジメントについて発信しています。少しでも皆さまのお役に立てれば幸いです。
目次
業務運営において、ほとんどの企業が避けては通れないクレーム。クレームを受けたときにどのような対応を行うかは、その後の製品やサービスの改善だけでなく、顧客との関係性にも影響する重要な業務です。一連のクレーム対応の中でも、重要なのはクレーム報告書の作成でしょう。今回は、慎重さと迅速さの両立が求められるクレーム報告書の書き方のポイントや例文、テンプレートなどをご紹介します。クレームを業務改善に活かすために、お役立てください。
「welog」は、メンバーのノウハウやナレッジを見える化することで
中小企業の属人化問題を解決するドキュメント共有ツールです。
クレーム報告書とは、顧客から受けた苦情の内容とそれについての対応・対策を、報告・共有することを目的とした文書のこと。クレーム報告書は、社内だけでなく社外の関係会社への報告や、情報共有のために活用されることもあります。顧客からの厳しい意見は時に耳が痛いものですが、正しく報告書を作成し、適切に共有・処理することは、再発防止やその後のサービスや商品の品質向上、顧客との信頼関係維持のためにも欠かせません。
自身が受けたクレームの内容を報告するという業務は、あまり気乗りしないものです。しかしクレームに対して正しく対応することは、自身だけでなく企業としての財産にもなるでしょう。クレーム報告書の作成時に注意したい書き方や対応のポイントについて解説します。
まず、クレームへの対応はなるべく迅速に行うことが重要です。対応を放置すると、より大きな問題や顧客からの信頼の喪失に繫がることもあるでしょう。クレーム報告書の作成も、出来る限り迅速に行うことを心がけましょう。
クレーム報告書の作成では、読み手によって書き方や記載項目を書き分けられるように意識することも重要です。クレーム報告書は、社内に対する情報共有のために作成する以外にも、仕入先や配送業者など、「社外の関係者に対して苦情の発生を知らせるためのもの」「クレーム主へのお詫びと調査報告」などに分かれます。また、苦情内容が危険な事故につながる恐れのあるトラブルだった場合、監督官庁への報告を必要とする場合もあります。
このように、クレーム報告書の読み手や作成の目的はさまざまです。読み手や作成目的に応じて、書くべき項目や書き方などを工夫しましょう。
クレーム報告書は、客観的な視点に立って事実をありのままに記すことが大切です。顧客からの苦情の中には、一方的なものや感情的な内容と感じられるものもあるでしょう。たとえ理不尽に感じられるクレームを受けた場合でも、報告書は主観を交えず、発生した事実を冷静に記載することを心がけましょう。
クレーム報告書に記載する苦情内容の作成では、読み手が事の経緯を把握しやすいよう、時系列に記載するのもポイントです。「苦情の原因となった事象」「苦情の内容」の順に、簡潔に記すことを心がけましょう。このように書くことで、第三者の読み手が「苦情の原因が何だったのか」「今後どうするべきか」を特定しやすく、その後の対応もスムーズになります。
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クレーム報告書に必ず記載したいのは、以下の項目です。
・苦情の受付日
・対応した担当者名(報告書の作成者が異なる場合は作成者名も記載する)
・苦情の発生日時・場所(苦情主より聴取する)
・顧客(苦情主)の情報 ・苦情の内容
・苦情の元となった原因(調査が必要な場合はその旨を記載する)
・苦情への対応内容 ・苦情の再発を防止するために考えられる今後の対策
これらを基本項目として、読み手や目的に応じて必要な項目を適宜追加するとよいでしょう。例えば、社外の顧客に対する報告書では、まずお詫びの言葉から始めるのが一般的です。
一方、社内向けのクレーム報告書の内容は、今後提供する製品やサービスなどの品質改善に利用することを想定した書き方ができると効果的です。例えば、受けた苦情の内容は分析しやすいよう、データベース化しておくとよいでしょう。その際に便利なのは、苦情内容の分類です。「製品」「サービス」「納品」など、どの部分に対する苦情なのかと、例えば製品に対する苦情であれば、「初期不良」「故障」「破損」という風に、どのような性質の苦情なのかを分類する項目を設けます。後から分析しやすいようにしておくと、より高い価値を生み出せる情報として、活用しやすくなるでしょう。
社外・社内それぞれに向けたクレーム報告書の項目と書き方を、例文付きでご紹介します。
社外のお客様向けのクレーム報告書の記載例です。
令和4年9月27日
木村 綾子様
株式会社ABC
カスタマーサービス本部 ECショップ運営 土屋 沙紀
商品の取り違えに関するお詫びとご報告
拝啓時下ますますご清栄のことと、お慶び申し上げます。平素は格段のお引き立てを賜り、厚くお礼申し上げます。
さて、令和4年9月15日に発生いたしました弊社のオンラインショップからのご注文商品の取り違えについて、木村様に多大なご迷惑とご心配をお掛けいたしましたことを、深くお詫び申し上げます。下記のとおり、経過をご報告申し上げます。
1.経緯
改めて原因をお調べしたところ、商品の配送を委託しているA商事にて、同日に同性同名のお客様から注文いただいた商品の伝票と、取り違えが発生していたことが判明いたしました。
本来は2名体制で確認作業を行ったのちに発送業務を行うところですが、当日は担当者が体調不良で急遽お休みを頂いており、新人担当者が1名で作業にあたっていたことが今回の不手際に繫がってしまいました。
2.対応
今後は確認作業の業務フローの見直しや、人材教育など体制面の充実をはかり、このような手違いが起こらないよう、業務体制を整えていく所存でございます。
木村様におかれましては、弊社の商品の到着を楽しみにされていらっしゃったことと拝察され、今回の件でご不快な思いをされたこと、重ねてお詫び申し上げます。
今後もお客様に喜んで頂けるよう、より一層サービスの質向上に努めて参りますので、何卒引き続きのご愛顧を賜りますよう、どうぞよろしくお願い致します。
敬具
社外のお客様向けの報告書では、時候の挨拶とお詫びの気持ちを伝える文面からはじめ、文章中に発生日時や場所などを盛り込んでいます。 続いて、経緯と対応という構成で原因と必要な対策を盛り込みます。読み手に謝罪や反省が伝わるよう、顧客の気持ちに寄り添った文章で締めくくっています。
以下は、社内向けのクレーム報告書の記載例です。
令和4年9月28日
カスタマーサービス本部 ECショップ運営 土屋 沙紀
1.クレーム概要
カテゴリ:3
受付日:令和4年9月15日
発生日時・場所:令和4年9月14日、苦情主自宅
お客様情報:木村綾子様 東京都立川市〇〇 (連絡先:090-○○○○)
クレーム内容:弊社ECモール経由でのショッピングにて、ご注文の商品と別の商品が配達されたと、カスタマーサービスセンターにお電話を頂いた。
2.クレーム詳細
・9月10日、ECサイトにて木村様よりご注文を承る。
・9月11日、A物流センターにて木村様への発送業務を実施。同日の同時間帯に、同姓同名のお客様より注文を受けた、別の商品への対応を実施
・伝票の添付作業時に商品の取り違えが発生したと考えられる
3.クレーム発生の原因
・通常2名体制での確認作業をしているが、当日はもう1名が体調不良で休んでいたこと
・他のスタッフも担当業務が忙しく確認を1名体制で実施していたこと
これらが、今回の手違いの要因と考えられる。
4.クレームへの対応
・木村様への報告に加え、本来お届けするべき商品とともに当社ECショッピングモールで利用可能なクーポン券5,000円分を送付。
5.改善・再発防止に向けた対策
A物流センターにおける、体制および業務フローの見直しが必須。今回の件が発生した経緯について更に詳細な調査を実施し、ヒューマンエラーが起こらない仕組みやツールの導入も前提に、体制を充実させる必要があると考える。
社外向けの報告書とは異なり、項目ごと一文一文はできるだけ簡潔に、淡々と事実を記載していきます。今後の改善策まで盛り込むことで、品質改善に向けた足掛かりになるでしょう。
「welog」は、メンバーのノウハウやナレッジを見える化することで
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情報共有ツール「welog」を活用した、社外向け・社内向けそれぞれのテンプレートをご紹介します。
(テンプレートへのリンクはこちら)
社外(お客様)向けのクレーム報告書のテンプレートです。本文では、まずお詫びの気持ちを伝える言葉を記し、苦情の内容とその原因、対処に関する説明を順に記載します。最後は今後の対策を記載します。また、締めの言葉として改めてお詫びの言葉や今後の今後の厚誼・鞭撻を願う言葉を添えるなど、読み手によって書き方を適宜変更して利用するとよいでしょう。
(テンプレートへのリンクはこちら)
社内向けのクレーム報告書テンプレートでは、まず受けたクレームの概要を記載し、その後に詳細な内容を記載します。また、最後は今後の改善に向けて必要な対策を盛り込みます。
クレーム報告書の作成は、受けた苦情への対応の一環です。クレーム対応は報告書の作成以外にも、以下のような点に注意する必要があります。
クレーム対応では、再発防止に向けて、正しい事実を確認することが重要です。顧客から苦情を受けたら、報告書の作成前にその事実を確認しましょう。苦情主からの言い分を鵜呑みにしてその場しのぎの対応をしてしまうと、本質的な問題を見逃してしまうことにも繋がります。
たとえば、「セールスを受けて契約した商品(サービス)が、説明されたものと違った」というクレームに対しては、「商品(サービス)について、どのような説明を行ったのか」「メールや録音など、客観的に内容を確認できる記録が残っているか」など、顧客と営業担当者の間で交わされたやり取りの履歴を確認して、原因を追及します。 事実を確認することで何が原因で苦情が発生したのかが分かり、結果的に顧客が納得できる改善策を、提案しやすくなるでしょう。
クレーム対応では、単に苦情の発生を詫びるのではなく、顧客とのその後の関係性を重視した対応が求められます。 仮に、「商品が故障した」というクレームに対して、「代替品を送る」という対応をしたとします。対応は間違っていないものの、機械的な対処に徹すると、その後の関係性に支障をきたすことも考えられるでしょう。報告書の記載でも、まずは苦情に至った経緯を推し図り、心情に対する理解を示すとともに、それに沿った対処法を提案しましょう。
苦情を通じ、「顧客が期待しているのはどのようなことなのか」「なぜこのような発言をしているのか」を明確にし、報告書で適切な対処法を提案することが重要です。
作成したクレーム報告書は、その後の改善に活かせるように保管・保存を工夫しましょう。受けた苦情の内容を、いつでも振り返ることができるようにしておくことがポイントです。報告書をクラウド上に保管しておけば、セキュリティを担保しながら社内での共有が迅速に行えます。
welogは、迅速・適切な作成と共有などの対応が求められるクレーム報告書の作成に役立つ、情報共有に特化したドキュメント作成ツールです。welogは作成したドキュメントをクラウドで保管するので、情報の一元管理が可能です。クレーム報告書の作成に利用すれば、上司への報告や部署内での今後の対応方針の共有などが、スムーズに行えます。
また、ボタン一つで外部との共有も可能。クレームの内容を委託先など外部と共有したい場合などにも便利です。高度な検索機能を備えており、クレーム情報のデータベースとして活用すれば今後の業務やサービス改善に役立てることができます。
1ヵ月間の無料トライアルも設けていますので、クレーム報告書の作成や活用に役立つ「welog」をお試しください。
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クレーム報告書は、読み手によって書き方や記載項目を適宜変更しながら、迅速かつ適切に作成することが重要です。内容を記載するときは、事実を客観的に記載することや、なるべく簡潔な文章で伝えることに注意しましょう。
クレーム報告書はその後の品質改善などに活用するためにも、作成後は適切に共有・保管を行うことも大切です。情報共有に特化したクラウドツールを活用するなどして、クレームを業務に活かせる体制づくりを行ってみてはいかがでしょうか。
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