こちらのコラムでは、無料で使える情報共有のためのビジネスノートツール「welog(ウィーログ)」の運営スタッフが、ビジネスにおける情報共有やナレッジマネジメントについて発信しています。少しでも皆さまのお役に立てれば幸いです。
目次
特定の作業に関する作業手順・内容を記した書面である、「作業手順書」。作業手順書を作成することで、作業工程の標準化や業務効率化につながります。「作業手順書の作成方法を知りたい」という方もいるでしょう。今回は、作業手順書を作成する際のポイントや作り方などを紹介します。作業手順書の作成時に活用したいテンプレート作成ツールも紹介していますので、お役立てください。
「welog」は、メンバーのノウハウやナレッジを見える化することで
中小企業の属人化問題を解決するドキュメント共有ツールです。
作業手順書とは、特定の業務や作業についての「作業手順」や「作業内容」などを、時系列に沿って書き記した書面のこと。企業によっては、「SOP」と呼ばれることもあります。SOPとは、「Standard Operating Procedures」の略で、日本語に直訳すると「標準作業手順書」です。
作業手順書はもともと、作業を「迅速」「確実」「安全」に行うため、製造業や建設業などを中心に活用されてきました。近年では、業務効率化を進める手段の一つとして、さまざまな業界でのニーズが高まってきています。
作業手順書の構成や記載内容に厳密な決まりはありませんが、「作業の名称」や「作業の目的」「作業手順」「作業に必要なアイテム・ツール」「作業担当者」「作業のポイント」「チェック項目・基準」などを記載するのが一般的です。作業手順書を作成する際は、これらの項目を抜け漏れなく記載するとよいでしょう。
作業手順書は、以下のようなシーンで活用できます。
・現場における日々の業務
・前任者から後任者への業務の引き継ぎ
・新入社員へのOJT ・既存の作業手順を整理したいとき
・複数名で行う業務の作業手順を統一したいとき
・これまで社員が担当していた業務を、外部の企業にアウトソーシング依頼するとき
こうしたシーンでいつでも作業手順書を使えるよう、すぐ手が届く場所に配置したり、従業員に携帯してもらったりするとよいでしょう。
「作業手順書」と比較されることが多いのが、「業務マニュアル」です。業務マニュアルとは、業務全体に関わる注意事項や作業の流れなどをまとめた資料のこと。業務マニュアルと作業手順書は、「扱っている内容の範囲」や「記載内容のボリューム」などが異なります。
「製品の製造」を例にとると、業務マニュアルには製造プロセス全体の流れや注意点を記載します。一方、作業手順書には、「部品の組立」「完成品の検査」といった作業工程ごとの手順や作業内容が記載されます。
業務マニュアルの方が作業手順書よりも広範な内容を扱っているため、業務マニュアルの一部に作業手順書が含まれると理解するとよいでしょう。
作業手順書は、どのようなことを目的に作成するものなのでしょうか。作業手順書を作る重要性について、紹介します。
作業手順書を作成することで、「この作業工程では、具体的にどのようなことをするのか」「特に注意が必要な作業は何か」などが明確になり、業務が「見える化」します。それにより、作業に関わるメンバー全員が、「確実」に作業を進められるようになります。特定の社員のみが作業を行うことができる状態である「属人化」が解消され、チームメンバー全員が作業できる状態である「作業工程の標準化」が実現するでしょう。
作業手順書は、現場における安全性を確保するためにも重要です。作業手順書がないと個々のメンバーが自己判断で作業してしまい、ミスを誘発しやすくなります。大型の機器を扱うことが多い製造現場や建設現場などでは、人命に関わる重大な事故につながるリスクもあるでしょう。
「事故が発生しづらい作業手順」を記載した作業手順書を用意しておくことで、こうしたリスクを避けながら、安全に作業を進めてもらうことができます。
一人ひとりが思い思いの方法で作業を進めた場合、作業効率が下がったり、完成品の品質にばらつきが出たりする可能性があります。一方、作業手順書があり作業工程が標準化されていれば、メンバーは作業を「最短・最速」かつ「最善」な方法で進めることができます。それにより、業務効率や品質の向上につながるでしょう。
作業手順書は、作業品質の向上・均一化のためにも重要です。一つの作業を複数のメンバーで行う際に作業手順書がないと、メンバー間で作業品質にばらつきが生じます。その結果、製品・サービスの質にも影響が出てしまえば、顧客からの信用を失う可能性があります。
作業手順書があれば、メンバーの誰もが同じ作業を同じ手順で行えます。そのため、メンバー間での作業品質のばらつきを解消でき、作業品質が向上・均一化するでしょう。
作業手順書なしで新メンバーに業務や作業を覚えてもらうためには、一つ一つの作業を口頭で伝えたり、最初から最後まで実際に作業を行なってみせたりする必要があります。しかし、作業手順書があれば、新メンバーに全ての作業工程の手本を見せる必要がなくなります。作業手順書だけでは説明しにくい箇所だけ、お手本を見せれば、新メンバーでも業務を進められるでしょう。それにより、教育コストの削減につながります。
作業手順書を作成することで上述の5つを実現できれば、生産性を大幅に向上できます。より少ない工数・人員でより多くの利益を生み出せるようになるでしょう。さらに、余剰となった工数・人員を新事業や採算性の高い事業に回すことができれば、中長期的な業績改善にもつながると期待できます。
わかりやすい作業手順書を作成するための4つのポイントを紹介します。
各工程の作業手順のみが書かれた作業手順書の場合、「何のためにこの工程があるのか」や「この工程が、次の工程にどう影響するのか」がスタッフに伝わりにくい可能性があります。スタッフの理解を促すため、各工程の詳細な説明の前に、工程の全体像が分かるフロー図を作成することが重要です。なお、フロー図に記載した各工程の名称と、作業手順書の目次に記す工程名が異なると混乱を招く恐れがあるため、必ず工程名を一致させましょう。
説明文が長いと、「何を言っているのか、途中でわからなくなる」「無意識に、飛ばし読みしてしまう」といった可能性があります。そうしたことを避けるため、作業手順に関する説明文は、なるべく短く、一文一義を心がけましょう。また、抽象的な表現を避け、具体的に記載することも重要です。
よい例とよくない例
よい例:「部品Aの上に、部品Bを取り付けます。」「部品Aに部品Bが根本までくっついているかを確認します。」
よくない例:「部品Aと部品Bを取り付けたら、今後は取り付け状況を確認する必要があるので、部品Aと部品Bのくっつき具合に問題がないかを見ます。」
工程によっては、文章での説明が難しい場合もあります。そうした場合には、イラストや写真を付けることをおすすめします。イラスト・写真付きにすることで、視覚的理解が促され、作業をよりイメージしやすくなるでしょう。
作業工程によっては、次の工程に移る前に「確認」が必要な場合があります。ミスを減らすためには、まず担当者自身がセルフチェックを行い、その上で上司やチームリーダーにダブルチェックしてもらうという体制を築くことが大切です。「どういう基準を満たしていれば、問題ないか」「基準が満たしているかどうかを、どのように確認するか」など、セルフチェックの際の確認基準・方法を記載しましょう。
作業手順書の作り方を、7つのステップに分けて見ていきましょう。
まず、「作業手順書を作る目的」や「作業手順書の利用者」を設定します。
「何のために作るのか」という目的が明確でないと、作業手順書を「作成すること」自体が目的となってしまい、誰も使わないという状態になりかねません。作業手順書を作るのに要した時間を無駄にしないためにも、作業手順書の「作成目的」や「作成による効果」などを明示する必要があります。
「誰が作業手順書を使用するのか」を明確にすることも重要です。例えば、ベテラン社員から新メンバーまで幅広い人を対象としているのであれば、新メンバーでも理解しやすい作業手順書を作成する必要があります。また、対象となる部署・チームが「一つ」なのか「複数」なのかによっても、盛り込む内容が変わってくるでしょう。
次に、作業を洗い出し、記載事項をピックアップします。実際に、現場で作業を行っているメンバーにヒアリングを行い、「どのような作業を行っているのか」を把握しましょう。その上で、作業手順書に記載する内容をピックアップしていきます。
記載事項のピックアップが終わったら、作業手順書の構成を考え、目次を書き出します。
ピックアップした項目を「簡略化できそうな作業工程はないか」「同時に行える作業工程はないか」といった観点で確認し、最も効率的な作業手順を設計しましょう。それに基づき、作業手順書の大まかな構成を決定することで、記載事項の抜け漏れを防ぎやすくなります。現場で実際に作業を行っているメンバーに、「この流れで問題がないか」を確認してもらうと安心です。
目次を書き出したら、次に時系列に沿って、作業手順書を作成します。フロー図やイラスト、写真などを用いながら、わかりやすく・簡潔な作業手順書を作成しましょう。作業に関するメンバーの理解を深めるため、「この作業工程を実施する理由」や「その後の作業工程への影響」なども併せて記載することをおすすめします。
作業手順書を書き上げたら、校正を行い、ミスがないかをチェックします。「記載事項の抜け漏れ」や「誤字脱字」などがないかを確認しましょう。校正の精度を高めるため、作成者自身のセルフチェックに加え、第3者のチェックも行うことをおすすめします。可能であれば、このタイミングで、記載内容に問題がないかを現場のメンバーに確認してもらいましょう。
次に、作成した作業手順書を仮運用します。実際に現場で作業手順書を使ってもらい、「分かりにくいところはないか」「もっと効率的な作業手順はないか」などを確認します。見直しが必要な箇所が見つかったら、作業手順書を修正しましょう。
作業手順書は、「一度作ったものを、ずっと使い続ける」ものではなく、アップデートを繰り返す必要があるものです。作業手順書に従って実際に作業を行っていく中で、現場の社員が「この作業工程は、もう必要なくなった」「作業工程AとBは、同時並行できそう」といった発見をするかもしれません。改良した方がよさそうな項目が見つかったら、随時見直しを行い、改善させていきましょう。
作業手順書を運用する際に押さえておきたいポイントを紹介します。
作業手順書は、一度作ったら終わりというものではなく、定期的に更新していく必要があるものです。更新作業を滞りなく行えるよう、管理者を設定しましょう。現場の作業担当者に管理を一任するという方法もありますが、業務の状況によってはすぐに対応できないケースも考えられます。そのため、作業担当者ではない人を管理者とし、作業手順書を更新してもらうようにするのが望ましいでしょう。
「実際に現場で活用してもらえる」作業手順書にするためには、現場で働く社員の声を集めることが大切です。現場社員と日頃からコミュニケーションをとるようにし、現場からのフィードバックを常に受け取れる体制を築きましょう。
ときには、現場社員から耳の痛い指摘をもらうこともあるかもしれません。しかし、現場の声は作業手順書の改善に不可欠なものであるため、現場の声をないがしろにせず、真摯に向き合いましょう。「現場の声を集める」「フィードバックをもとに作業手順書を更新する」というサイクルを繰り返していくことで、現場社員は「自分の提案が受け入れられた」と感じるようになります。その結果、さらなる建設的な提案も生まれてくるでしょう。
作業手順書は、必要なときに必要な情報をすぐ確認できてこそ、価値があるものです。そのため、「いつでも」「どこでも」作業手順書にアクセスできる環境を整えましょう。
紙の作業手順書ですと、作業現場によっては適切な保管場所がないことも考えられます。また、ワードやエクセルの手順書の場合、パソコンからの閲覧は問題なくても、スマホやタブレットでは見づらいこともあります。そこでおすすめしたいのが、ICTを活用し業務上必要な情報を組織全体で共有・管理できる「情報共有ツール」です。スマホやタブレットに対応した情報共有ツールを活用すれば、「いつでも」「どこでも」「デバイスを問わず」作業手順書にアクセスできるようになるでしょう。
作業手順書の作成頻度が高い場合、毎回一から作業手順書を作成しようとすると手間・時間がかかります。作業手順書を効率的に作成したい場合には、テンプレートやフォーマットを活用すると良いでしょう。
「welog」は、「必要な情報を簡単に残せる。必要な情報が簡単に見つかる」をコンセプトに掲げる、チームのための情報共有ツールです。welogにはテンプレート作成機能があります。作業手順書のテンプレートをwelogで作っておけば、作業手順書作成を効率的に進められるでしょう。
また、welogには、「閲覧専用URL」を設定する機能もあります。この機能を使えば、ユーザー登録をしていないメンバーにも作業手順書を簡単に共有可能です。編集権限を特定のメンバーのみに限定しておけば、「閲覧者が、ついうっかり作業手順書の内容を消去・変更してしまう」というミスも防げます。
「welog」の無料登録はこちらからできます。
使いやすい作業手順書を作るためには、「工程の全体像が分かるフロー図を提示する」「説明文はなるべく短く、一文一義を心がける」といった工夫が必要です。「目的・対象者の設定」や「記載事項のピックアップ」「構成決め」といったステップを踏みながら、作業手順書を作成しましょう。作業手順書を活用し、作業工程の標準化や業務効率化を図ってみてはいかがでしょうか。
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