こちらのコラムでは、無料で使える情報共有のためのビジネスノートツール「welog(ウィーログ)」の運営スタッフが、ビジネスにおける情報共有やナレッジマネジメントについて発信しています。少しでも皆さまのお役に立てれば幸いです。
目次
会議の内容を記録する議事録は、「会議内容の確実な伝達」や「決定事項の明確化」などのために、不可欠なものです。「議事録を書く社員に、議事録作成の目的・重要性を理解してもらいたい」「作成時のポイントを伝えることで、より良い議事録を作成してもらいたい」といった方もいるのではないでしょうか。今回は、議事録作成の目的や重要性、良い議事録に求められる条件などを紹介します。
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議事録とは、会議や打ち合わせの内容などを記録してまとめた文書のこと。多くの企業で、議事録が用いられています。
議事録についての理解を深められるよう、混同されがちな文書との違いや、議事録の様式・種類について見ていきましょう。
議事録と混同されやすいのが、アジェンダやレジュメ、備忘録です。それぞれの特徴について、以下の表にまとめました。
アジェンダやレジュメは、基本的に「会議前」に作成するものであるため、議事録とは作成タイミングが異なります。
備忘録と議事録は、いずれも「会議で話したことをまとめた文書」であるという点は共通していますが、「誰のため」のものなのかという点が違います。備忘録は「自分のため」のものなので、どのような記載内容でも問題ありません。一方、議事録は「関係者全員のため」のものですから、重要な事柄をもれなく記載する必要があります。
議事録の形式は、「会話形式」と「要約形式」の2つがあります。会話形式とは、会議内容を「会話文」の形式で文章に残すもののことです。一方、要約形式とは会議内容を「整理・要約」して簡潔にまとめた」形式のこと。会社で議事録を作成する際には、「要約形式」の議事録を作成するのが一般的です。
また、議事録の種類は大きく「会社独自の判断・ルールに基づき作成するもの」と「会社法により定められているもの」に分かれます。
会社独自の判断・ルールに基づき作成するものとしては、以下のような議事録があります。
・社内会議
・社員総会
・クライアントとの打ち合わせ など
このような会議の議事録は、「社内外とのやり取りの記録」や「会議内容や決定事項の伝達・共有」を主な目的としています。具体的にどの会議の議事録を残す必要があるかは企業によって異なるため、事前に作成要否を上司や関係者に確認しておくとよいでしょう。
会社法では、以下のような会議についての議事録の作成・保管が企業に義務付けられています。
・創立総会
・株主総会
・取締役会
・監査役会
・指名委員会
・債権者集会 など
会社法により定められている議事録は会社にとって非常に重要なものであるため、抜け漏れなく、正確に記載することが重要です。なお後ほど詳しく紹介しますが、作成済みのこれらの議事録を修正する際には、定められたルールに則って対応する必要があります。
会議の内容を正確に記録するために用いる、議事録。良い議事録を作成してもらうためには、議事録担当者に議事録作成の目的を理解してもらうことが重要です。議事録作成の目的を見ていきましょう。
議事録作成の一番の目的は、「関係者への、会議内容の確実な伝達・情報共有」です。
会議に参加したものの、「内容をはっきり覚えていない」「正確に理解できているか自信がない」といった経験がある方もいるでしょう。議事録には、会議に関する事柄の「備忘録」としての役割があります。議事録を作成しておけば、会議参加者の「記憶ミス」や「理解不足」を防げます。
また、議題に関わっているメンバー全員が参加するとは限りません。参加予定者の業務都合や体調不良、会場のキャパシティなどの理由により、関係者全員を集めるのが難しいというケースも考えられます。そうした場合に役立つのが、議事録です。議事録があれば、会議に出席しなかった関係者にも、会議内容を正確に伝えることができます。
会議での「決定事項」や「承認者」を明確にすることも、議事録作成の目的の一つです。
「●●だと、会議で言ったはずです」「いえ、私は▲▲だと認識しました」といった意見の相違やトラブルに遭遇した経験のある方もいるでしょう。「結論を、誰がどういう経緯で決定したのかわからない」ということもあるかもしれません。承認の経緯や決定事項、承認者を記載した議事録を作成することで、そうしたトラブルを避けられます。
会議では決定された内容の「担当者」「期限」を明確にすることも、議事録作成の目的です。
会議での決定事項が多かったり、会議から数日経ったりすると、「誰が」「何を」「いつまでに」担当するのか正確には覚えていられなくなることもあるでしょう。議事録を作成しておけば、決定された内容の「担当者」や「期限」を容易に思い出すことができます。それにより、一人ひとりが自分の役割を抜け漏れなく担えるようになるでしょう。
「会議中に決定・解決できなかった事項」や「会議で新たに見つかった課題」などが、次回の会議に持ち越しになることもあるでしょう。議事録作成には、「次の会議へと課題をつなげる」という目的もあります。次回にむけての確認事項や課題を書き残すことで、「次の会議では、どのようなことを確認・決定する必要があるか」を明確にする効果が期待できます。
どのような規模・内容の会議であっても、議事録は重要な役割を持つものです。もし議事録を作成しなかったら、どのようなことが起こるのでしょうか。議事録作成の重要性を再確認するためにも、議事録を作成しなかった場合のリスクについて、理解しましょう。
議事録を作成せず、会議での決定内容や担当者などを正確に共有できていない状態では、「誰が・いつまでに・何を」するべきなのかが曖昧になる恐れがあります。その結果、責任の所在が不明確になり、作業が進まなくなることが考えられます。具体的には、「本来、自分がやるべきことを他人任せにしてしまう」「必要な業務を、期日までに完了できない」といった問題が生じるでしょう。
事録を作成していない場合、会議で決定した「業務に関する事柄」の業務担当者への共有は、口頭のみで行われます。その結果内容が正確に伝わらず、認識の相違が生じる可能性があります。すると会議内容を業務に反映できず、「誤った判断により、ミスが頻発する」「改善が必要な業務が、一向に見直されない」といったように同じことが繰り返されてしまうこともあるでしょう。
議事録を作成していないと、前回の会議内容を覚えていなかったり、何が争点となっていたのかの記憶が曖昧になったりします。そのため、「前回の会議と同じことを、今回の会議でも議論している」「何度会議を重ねても結論が出ない」といったことが起こりやすくなります。前回の会議内容に関する記憶が曖昧だと、出席者全員で内容を再確認しなければならなくなるため、会議が長引く要因にもなるでしょう。
議事録を作成していないことが原因で会議が長引いてしまうと、本来取り組むべき業務にかけられる時間が少なくなり、業務効率の悪化につながります。
また、会議では「これから行うべき業務」の他、「業務の優先順位」が決められることもあります。議事録を作成していないと、業務の優先順位が曖昧になり、業務効率が低下する可能性が考えられます。「期日までに業務を完了できない」「当初の予定よりも、作業時間がかかってしまう」といった事態が生じ、生産性の低下にもつながるでしょう。
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「会議内容の確実な伝達・情報共有」や「 決定事項・承認者の明確化」といった議事録作成の目的を達成するためには、関係者全員が活用できる「良い議事録」を作成することが重要です。「良い議事録」に求められる3つの条件を紹介します。
良い議事録にまず求められるのが、「5W2H」を押さえることです。「5W2H」とは、「When(いつ)」「Where(どこで)」「Who(誰が)」「What(何を)」「How(どのように)」「Why(なぜ)」「How Much/How Many(いくら、いくつ)」を意味します。
「5W2H」を漏れなく記入することで、会議で話し合った内容や決まった内容が明確化し、「認識の相違」を防いだり、「責任の所在」を明確にしたりすることができます。
会議での決定事項や次回への課題などを明確にするためには、「議論の経緯」が整理され、ポイントがひと目で理解できる「わかりやすい」議事録の作成が不可欠です。「決定事項を冒頭に明記する」「次に、決定に至った経緯を記載する」「懸案事項は、最後にまとめて記載する」といったように順序立てながら、作成しましょう。
よりわかりやすい議事録にするためには、問題解決に効果的な「空・雨・傘」のフレームワークや、視覚的に意味を伝える「記号」、課題に関連する要素をツリー状に記載する「ロジックツリー」などを活用することをおすすめします。
「空・雨・傘」のフレームワークとは、「事実」「事実の解釈」「判断」という順番で物事を捉えるフレームワークです。
「空・雨・傘」のフレームワークの例
①:空を見上げると、曇り空が広がっている(「事実」)
②:もうすぐ、雨が降りそうだ(「事実の解釈」)
③:傘を持って出かけた方がよさそうだ(「判断」)
このフレームワークを議事録に活用すると、経緯や論点を明確にすることができます。
議事録に使える記号を紹介します。
記号を使用することで、視覚的に分かりやすい議事録を作成できます。
人の記憶は、時間が経てば経つほど、どうしても曖昧になります。そこで議事録作成に求められるのが、「スピード感」です。会議当日、遅くとも会議終了後1~2日以内に議事録を作成・共有するのが望ましいとされています。
議事録には鮮度が求められるため、会議中にその場で作成するのがベストです。「テンプレートを作り、埋められる項目は事前に記入しておく」「複数人で、議事録を同時に編集する」といった工夫をするとよいでしょう。議事録作成に要する時間を短縮したい場合には、共同編集が可能な情報共有ツールの活用がおすすめです。
議事録については、以下のコラムでもご紹介しています。
参考:議事録の書き方。テンプレート例や書き方のコツ、参考本などをご紹介
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議事録に必ず記載したい、5つの項目について見ていきましょう。
会議の開催日・開始時間・終了時間・場所の記載は外せません。「何月何日に」「何時から何時まで」「どこで」会議を開催したのかを明記します。なお、午前・午後を混同しないよう、時間については24時間表記とするのが望ましいです。例えば、午前8時~午後1時の場合には「8:00~13:00」、午後7時~午後9時の場合には「19:00〜21:00」というように記載しましょう。なお、web会議の場合には、どの拠点間をつないで行ったのかを併せて記載することをおすすめします。
「誰が会議に参加したのか」出席者に関する情報も必要です。参加者名や参加人数を漏れなく記載しましょう。
なお、出席者は「社外」→「社内」の順に記載します。「社外」の方たちが参加していた場合には、まずはその方たちの名前を記しましょう。「社内」については、役職が上の人から順番に記載するのが一般的です。
議事録担当者の名前は、一番最後に記載します。担当者名の横に、「(記)」と書いておけば、誰が議事録を作成したかが明確になってよいでしょう。
「何について話し合った会議だったか」「どういう目的で会議を開催したか」も、議事録には必要な情報です。議題や会議の目的を必ず記載しましょう。事前にアジェンダが決まっている場合には、それに沿って書くと、効率的に作成できます。
会議での「決定事項」や、次回の会議までの「ToDo」も、忘れずに記載しておきたい項目です。議題ごとに、どのような決定がなされ、次までに何をする必要があるのかを明記しましょう。対応漏れが発生しないよう、「5W2H」を意識しながら、簡潔に記載することをおすすめします。
発言内容を事細かに、全て記載する必要はありません。「発言者が誰なのか」「どのような発言があったのか」「どのような経緯で議論が展開したか」「最終的に、どのような結論が出たのか」などを、できるだけ端的に、5W2Hを意識して作成することが重要です。
議事録への記載例を詳しく知りたい方は、こちらの記事をご確認ください。
会議で挙がった「懸案事項」や「次回の議題」も議事録に記載します。なお、懸案事項・課題が特になかった場合には、特に記載する必要はありません。
議事録に関する疑問に対する答えを紹介します。
誰が議事録を作成するのかについては、特段ルールがありません。しかし、実際には「新入社員」や「会議参加者の中で、役職が一番低い社員」が作成担当者になるケースが多いようです。議事録を作成する中で、会社のことや会社の事業内容、自部署の担当業務などへの理解を深めてもらいたいという狙いがあってのものと言えるでしょう。
「会議の録音データ」や「Web会議の録画データ」などが、議事録の代わりになります。文章化しにくい内容や発言のニュアンス、発言に対する参加者の反応などを伝えたい場合には、これらのデータが役立つでしょう。なお、「会議の録音データ」や「Web会議の録画データ」のみですと、会議内容を振り返る際に情報の探索コストがかかってしまいがちです。そのため、これらのデータと通常の議事録を併用し、「会議内容や決定事項などの概要は、議事録で確認」「詳細について確認したい場合には、適宜、録音・録画データを確認」というように使い分けるとよいでしょう。
会議の内容・状況によって多少前後することもあるかと思いますが、「会議にかかった時間~その1.5倍の時間」が議事録作成にかける時間の目安となります。例として、「1時間」の会議だった場合、「1時間~1時間30分」を作成時間の目安としましょう。なお、作成時間を短縮したいときには、議事録テンプレートや情報共有ツールの活用をおすすめします。
議事録が完成した後に、誤字脱字や内容の相違に気づくこともあるでしょう。議事録の修正方法は、本記事の冒頭で紹介した議事録の種類によって対応が異なります。
「会社独自の判断・ルールに基づき作成する」議事録については、基本的には修正内容・箇所が分かるようにした上で、再共有します。再共有する際は、関係者に対し、議事録の記載内容に誤りがあったため、修正した旨を伝えるようにしましょう。
「会社法により定められている」議事録については、役所へ必ず原本を提出しなければいけません。そのため、修正する際は、訂正箇所に二重線を引いた上で訂正印を押印し、余白に「〇字抹消、〇字加筆」と記載する必要があります。
企業によって、議事録の共有方法はさまざまです。例として、「メールでの送信」や「社内wikiへの掲載」「情報共有ツールを使っての共有」などがあります。少人数にのみ共有したい場合には「メール」でも問題ありませんが、大人数に共有したい場合には「社内wiki」や「情報共有ツール」の活用が望ましいでしょう。
効率的な議事録作成のために知っておきたい、2つのポイントを紹介します。
議事録を毎回一から作成していては、手間・時間がかかります。そこでおすすめしたいのが、「議事録テンプレート」の活用です。「開催日時・場所」「決定事項」といった議事録の必須項目についての記載欄があるテンプレートを用意し、議事録作成の際にはコピーして使うようにすれば、議事録作成に要する時間を大幅に短縮できます。テンプレートを作成する際は、コピーしてそのまま使えるよう、ドキュメント作成ツールなどを用いるとよいでしょう。
(「welog」で作成したテンプレートへのリンクはこちら)
議事録作成は、「会議内容の確実な伝達・情報共有」や「決定事項・承認者の明確化」などを目的としています。メンバーが活用しやすい「良い議事録」を作成するためには、「5W2Hを漏れなく記載する」「スピード感を重視する」といったことが必要です。テンプレートや情報共有ツールを活用しながら、議事録の意義を踏まえた良い議事録を、効率的に作成してみてはいかがでしょうか。
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