こちらのコラムでは、無料で使える情報共有のためのビジネスノートツール「welog(ウィーログ)」の運営スタッフが、ビジネスにおける情報共有やナレッジマネジメントについて発信しています。少しでも皆さまのお役に立てれば幸いです。
目次
文書管理は、企業にとって重要な文書を適切に管理することを意味します。文書管理を行う目的やメリットを把握し、文書管理を効果的に行いたい方もいるのではないでしょうか。今回は、文書管理の概要と管理のステップ、文書管理システムで得られる効果やデメリット、文書管理促進のためのポイントをご紹介します。
「welog」は、メンバーのノウハウやナレッジを見える化することで
中小企業の属人化問題を解決するドキュメント共有ツールです。
文書管理(英語:Document management)とは、「企業活動で生じるさまざまな文書(情報)をわかりやすく集約し、適切に管理すること」です。管理が必要となる文書は、業務報告書や稟議書、見積書や契約書のほか、財務諸表など多岐にわたります。文書管理は、これらの文書を、活用したいときにすぐに取り出せる状態に整理した状態で、保管・保存しておくことです。適切な文書管理のためには、「発生(文書の作成)」→「伝達(社内外への文書の発信)」→「保管(使用頻度の高い文書をすぐ取り出せる場所で保管)」→「保存(使用頻度の低い文書を書庫などで保存)」→「廃棄」という、文書の一連のライフサイクルを日頃から意識するとよいでしょう。
では、文書管理を適切に行うことで企業にどのようなメリットが得られるのか、文書管理の目的をご紹介します。
一つ目の目的は、企業のコンプライアンス強化です。文書管理の対象となる書類には、社員や顧客の個人情報など機密情報も含まれます。文書の紛失や漏洩など外部に情報が流出した場合、企業としての信用を失うだけでなく、損害賠償を請求されるなどのリスクも生じるでしょう。適切な文書管理は、企業が社会的責任を果たす上でも重要です。
二つ目の目的は、文書の置き場所を社内で適切に共有・管理することで、社員が必要な文書(情報)を迅速に活用し、業務を効率化することです。有益な知識や情報である「ナレッジ」が共有されることで、個人のスキル向上にも繋がり、結果として企業の生産性向上も期待できます。
また、特定の社員のみしか知りえない知識やノウハウ、顧客情報などが存在する「属人化」も防ぐことが可能です。社内でナレッジが共有されているため、異動や退職により担当者が変わった場合でも、業務が滞らないでしょう。
ISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)では、製品やサービスなどを世界中のどこでも同じ品質で提供するための基準を定めています。その中の基準の一つである「ISO9001」は、商品やサービスの品質マネジメントシステムに関する国際規格です。ISO9001の認証を取得するには、この規定に沿って適切に文書管理することが求められます。このことからも、適切な文書管理は、国際的に重視されていると言えるでしょう。認証を取得した企業は、品質管理において一定の基準をクリアしていることを証明できるため、対外的な信用力が上がります。
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では、効率的な文書管理をするためには、どのような方法があるのでしょうか。ここからは、文書管理を適切に行うための方法を、ステップごとにご紹介します。
まずは、文書管理の規程(ルール)を整備しましょう。文書管理規程とは、法令や規格などに基づき社内で定める基本的な原則のこと。文書の保管期限や保管場所などの取り扱い方法、文書規程の改定や文書の廃棄についてなどが該当します。文書管理規程は、「個人情報保護規程」や「秘密文書取扱規程」、「職務権限規程」など企業にとって重要な規程と関連しあっているため、あらゆる規程の中でも重要度が高いものです。文書管理規程を整備することで、文書管理方法が統一されるため、管理がしやすくなるでしょう。
文書管理マニュアルとは、規程に基づいた運用手順など、より具体的な文書管理方法を示すマニュアルです。文書管理規程が整備されたら、実務担当者レベルのルールである文書管理マニュアルを整備するとよいでしょう。
社内にある文書全体の量はどのくらいなのか、紙の文書と電子文書はどの程度の割合で存在するのか、文書はどのように管理されているのかなどを整理しましょう。紙の文書と電子文書では、管理の方法も異なります。まずは全体像を把握してから、どこにどの文書が保存されているのか把握しやすくするため、適切に文書を分類していきましょう。
文書管理の方法は企業により異なりますが、一般的に3つの分類方法があると言われています。ここからは、文書管理の分類方法についてご紹介します。
ワリツケ式とは、総務部など文書を管理する部署が分類ルールを決め、トップダウン方式で文書を整理する方法です。まずは大分類から分類し、内容ごとに細分化しながら中分類、小分類と整理します。一定の基準に従い迅速に分類できるため、組織全体のルール統一や管理に適した分類方法と言えるでしょう。
ツミアゲ方式とは、部署ごとの実務担当者が分類ルールを決め、ボトムアップで文書を整理する方法です。ワリツケ方式では大分類から分類するのに対し、ツミアゲ方式では、小分類から中分類、大分類へと順を追って整理します。現場をよく理解している担当者が内容ごとの関連性などを考慮しながら管理ルールの策定を行うため、実際の業務に沿って臨機応変にルールの改変も行いやすく、多くの企業で採用されている方法です。
ハイブリッド方式とは、ワリツケ方式とツミアゲ方式両方の良さを取り入れた分類方法です。ワリツケ方式は、組織全体の情報統一に向いている一方、部署ごとの情報管理が難しくなります。逆に、ツミアゲ方式だと社内全体での情報共有がしにくい側面があるようです。ハイブリッド方式は、一定の上位階層までは大まかに分類するワリツケ方式を、下位階層には業務単位で細かく分類するツミアゲ方式を採用します。こうすることで、管理ルールのバラツキが生じにくいうえに、業務実態に沿った管理ができるというメリットがあります。
紙文書の場合、文書を分類ごとにファイルやバインダー、フォルダなどにファイリングしましょう。ファイリングした文書は、必要なときにすぐに活用できるよう、同一カテゴリごとにファイルボックスへまとめると便利です。まとめたファイルやファイルボックスは、個人スペースや共有キャビネットなどに保管しておきます。電子文書の場合、サーバー内で階層フォルダを作って管理するとよいでしょう。
文書管理の効率化のためには、規程などルールを整備することとは別に、運用方法を整備することも重要です。近年は、「電子帳簿保存法(1998年施行)」や「e-文書法(2005年施行)」といった法律により、紙での保存が義務付けられていた国税関係書類等の書類の電子媒体での保管・保存が認められるなど、電子文書の必要性が高まっています。従来主流とされていた紙の文書ではなくクラウドシステムを活用する電子文書なら、紙の文書で生じる様々な問題を解決できるため、文書管理の効率化を促進することが可能です。
また、電子文書を活用すれば、紙の使用を極力なくす「ペーパーレス化」にも繋がるでしょう。
ここからは、クラウドシステムを活用することでどのようなメリットが得られるのか見ていきましょう。
クラウド型の文書管理システムを活用すれば、紙の文書で必要となる紙の保管スペースが不要となります。不要となった社内スペースは、他業務で有効活用することができるでしょう。また、紙の文書だと文書が増えるたびにスペースを確保する必要がありますが、クラウドシステムならその必要もありません。
情報がクラウド上で管理されているため、作成者や作成年月日、キーワードなどによる検索が可能です。また、ツールによっては全文検索やあいまい検索、属性情報を追加するタグ機能などを備えているサービスもあります。紙の文書は、ページを一枚一枚めくりながら情報を探す手間や時間がかかりますが、クラウドシステムならその手間を省けるため、作業効率の向上が期待できるでしょう。
文書管理システムは、クラウド上に蓄積した情報をスムーズに共有・活用しやすいというメリットもあります。ファイルを共有して複数人が同時に編集・閲覧できるサービスもあるので、文書管理を活性化することができるでしょう。情報整理がしやすく、いつでも最新の情報を活用することが可能です。
いつでもどこからでも情報にアクセスできることもメリットです。政府が推進する働き方改革のひとつに「テレワーク」がありますが、クラウドシステムなら、社内に居なくても情報にアクセスできる仕事環境を整備することが可能です。「ワーケーション」など働く場所を選ばない、多様な働き方を実現することにも繋がるでしょう。
文書管理システムとは、「電子文書や紙の文書をデジタル化したものを格納・管理するコンピュータ上のシステムのこと」です。文書管理システムを導入することで得られるメリットは多くありますが、同時にデメリットもふまえておくことが大切です。
文書管理システム導入時には、パソコンなどのハードウェアやプログラムなどソフトウェアの導入費用とその維持費がかかります。免許証や許可証など現物性が高いものなど、一部電子化の対象外の文書もあるため、紙の文書と電子文書を同時に管理する手間も生じるでしょう。また、個人情報や機密情報など重要な文書も管理するため、セキュリティ対策を強化することが必須となります。文書管理システムを導入する際は、アクセス権限を設定できる、アクセス履歴を把握できるなどセキュリティ対策が講じられているものを選ぶようにしましょう。
このように、文書管理システムを導入するには、紙媒体での管理とは異なるコストの発生や、その性質上必要な対策などがあることを考慮する必要があります。ただ、デジタル化やDX(Digital Transformation)が進む昨今、企業活動における情報の電子化は、ますます進んでいくと見込まれています。その点をふまえて長期的な視点で考えた場合、システムを利用した電子化による文書管理は、紙での文書管理よりメリットが大きいと言えるでしょう。
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文書管理を効果的に行うために、どのような工夫ができるのか見ていきましょう。
文書をどのような基準で配列するのか、分類基準を明確にしましょう。例えば、顧客情報など社外に関する書類は案件ごと、社内規程など社内の文書は部署や業務ごとに分けるなどです。内容ごとにグループ分けすることで、文書の検索性も上がり、検索時間など活用時の工数削減に繋がります。
文書の検索性を上げるために、文書に漏れや重複がないかチェックしましょう。重複の例として、社員の個人情報の分類を、「男性社員」「女性社員」「契約社員」とした場合が挙げられます。このケースでは、男性・女性社員の情報が、契約社員の情報にも重複しています。文書の漏れや重複があると、文書を探す手間がかかるため、業務効率が低下するでしょう。
文書分類は、文書内容の粒度を揃えることも大切です。電子文書の場合だと、同一階層内での粒度を揃える必要があります。例えば、取引先のフォルダ階層に各案件のフォルダ階層が混ざっている場合、粒度が乱れていると言えます。このようにカテゴリの違うフォルダが混在していると、情報を探し出すのに時間がかかるため、注意しましょう。
紙の文書や電子文書のファイルに付けるラベル名は、誰でも情報を探し出せるよう工夫することが大切です。文書の作成日や期間など「時間」や商品名や案件名など「種類」、報告書や契約書など「内容」ごとのキーワードを明記するとよいでしょう。また、個別のファイルを種類ごとや部署ごとの大きなカテゴリにまとめることもポイントです。
文書管理を適切に行えば、業務効率の向上やコンプライアンスが強化できるなどさまざまなメリットが生まれます。効率的な文書管理のためには、文書管理規程(ルール)やマニュアルなどを整備する、文書の分類方法を明確にすることなどが大切です。文書管理システムを導入すれば、文書管理の促進化も期待できるでしょう。
国際規格「ISO9001」で規定されている通り、国際的にも適切な文書管理が求められています。文書管理の目的やステップなどを把握し、効率的な文書管理方法を検討しましょう。
「welog」は、社内の情報をクラウド上で「整理」し、「必要なときに」、「必要な人」と共有できる情報共有ツールです。テンプレート機能や同時編集機能を使い、会議の議事録や業務マニュアル、日報などさまざまな「文書」を、効率的に記録・管理・活用することができます。また、作成者での絞り込みなど検索機能が充実しているため、探している情報を簡単に見つけられるのも特徴です。
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