こちらのコラムでは、無料で使える情報共有のためのビジネスノートツール「welog(ウィーログ)」の運営スタッフが、ビジネスにおける情報共有やナレッジマネジメントについて発信しています。少しでも皆さまのお役に立てれば幸いです。
目次
コロナ禍の影響もあり、普及が進む「テレワーク」。テレワークの導入を検討するにあたり、「テレワークの課題を知りたい」「課題への解決策を事前に知っておきたい」という方もいるでしょう。また、すでにテレワークを導入している企業だからこそ、課題を感じているというケースもあるかもしれません。今回はテレワークの課題や解決策、テレワークの課題を解決できるツールなどを紹介します。
「welog」は、メンバーのノウハウやナレッジを見える化することで
中小企業の属人化問題を解決するドキュメント共有ツールです。
政府が推し進める「働き方改革」の一環として、もともと注目されていた「テレワーク」。コロナ禍により、テレワークを実施する企業が急増したと言われています。実際、テレワークは企業にどの程度浸透しているのでしょうか。テレワークの定義や普及状況を紹介します。
テレワークとは、会社に出社することなく自宅や移動中などのオフィス以外の場所で仕事を行うことを意味します。「時間や場所を問わない働き方」とも言えるでしょう。テレワークには、自宅で働く「在宅勤務」、取引先のオフィスや移動中に働く「モバイルワーク」、勤務先以外の小規模オフィスで働く「サテライトオフィス勤務」という3つの形態があります。
総務省発表の『令和3年版 情報通信白書のポイント』には、「企業のテレワーク実施率」が掲載されています。この資料によると、新型コロナウイルス感染症が徐々に拡大し始めた2020年3月初旬のテレワーク実施率は17.6%でした。その後、感染者数の増加に伴い、2020年4月に第1回の緊急事態宣言が出されると、テレワーク実施率は一時56.4%にまで上昇。その後、緊急事態宣言解除後には30%台まで低下しました。しかし、2021年1月に第2回の緊急事態宣言が出されたこともあり、2021年3月にはテレワーク実施率が38.4%にまで再び上昇しています。
この結果から、新型コロナウイルスの感染状況がテレワーク実施率に影響を与えていることが見て取れます。今後の感染状況によっては、テレワークのさらなる普及が進む可能性もあるでしょう。
(参考:総務省『令和3年版 情報通信白書のポイント|第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済|第3節 コロナ禍における企業活動の変化|(1)テレワークの実施状況』)
普及が進むテレワークには、どのような課題があるのでしょうか。東京商工会議所が2021年8月に行った『中小企業のテレワーク実施状況に関する調査』をもとに紹介します。
テレワークを実施している企業を対象に「テレワークの課題」を聞いたところ、最も多かった回答は「情報セキュリティ」で59.7%でした。次いで、「社内コミュニケーション」が58.1%、「PCや通信環境の整備状況」が56.2%となっています。「労務管理」や「ペーパーレス化」も課題となっているようです。
(参考:東京商工会議所『中小企業のテレワーク実施状況に関する調査』)
また、今回の調査で「テレワークを実施していない」と回答した企業を対象に「テレワークを実施できない理由」を聞いたところ、テレワークを「一度も実施したことがない企業」と「(過去に)実施したことがある企業」とでは、回答にばらつきが見られました。
テレワーク未実施の企業では、「テレワーク可能な業務がない」が最多でした。一方、過去にテレワークを実施したことのある企業では、「業務の生産性低下」が最も多くなり、「社内コミュニケーション」が続きました。
(参考:東京商工会議所『中小企業のテレワーク実施状況に関する調査』)
これらの結果を整理すると、以下の項目がテレワークの課題と考えられます。
● コミュニケーション量や質の低下
● 生産性の低下
● 労務・勤怠管理
● 人事評価やマネジメント
● 情報セキュリティ
● テレワーク可能な業種職種の偏り
● 環境整備コスト
● 紙業務への対応
課題を1つずつ見ていきましょう。
テレワークの課題として挙げられることが多いのが、「コミュニケーション量や質の低下」です。
オフィスで働いている場合には、業務で何かわからないこと・困ったことがあっても、周囲のメンバーに気軽に相談できます。また、昼休みや休憩時間に仕事以外のテーマで話す機会を持つことで、従業員同士の相互理解やチームワークの向上につながるといった、副次的な効果も期待できるでしょう。
しかし、テレワークでは自分から確認しなければ、相手の状況も確認できません。それにより、コミュニケーションを取ることへのハードルが上がるため、「必要なときしか、連絡しない」「仕事以外の日常会話をする機会がない」といったことが起こり、コミュニケーションの量・質が低下します。こうした状況が続くと、迅速・適切な情報共有が行えなくなったり、チームワークが低下したりするでしょう。
テレワークでは、「生産性の低下」が課題となることもあります。
テレワークにより、コミュニケーションの量・質が低下することで、「意思疎通がうまくいかず、何度も確認しなければいけない」「問題やミスの発覚が遅くなり、チーム全体の業務が滞る」といったことが起こりやすくなるでしょう。その結果、生産性の低下につながります。
また、十分な準備期間や試行期間がなく始まったテレワークでは、自宅に「十分な作業スペース」や「業務遂行に適したPCやモニター」がないといった物理的な課題や、テレワークに適したツールが未整備のまま開始されたことにより、生産性が低下するケースもあるようです。
テレワークでは、「労務・勤怠管理」も難しくなるとされています。タイムカードや紙ベースでの勤怠管理では、テレワーク勤務の従業員の勤怠管理を、リアルタイムで行えないためです。
オフィス勤務の場合には、実際に出退勤している様子やタイムカードの打刻から、勤怠時間を正確に管理できます。しかし、テレワークでは、出退勤時間や休憩時間の報告はあくまで従業員の自己申告となります。そのため、「私用や家事などで、中抜けする」「仕事が終わらないから、残業する」といったことがあったとしても、従業員からの申告がなければ、企業はその実態を把握できません。
企業や従業員の成長にとって不可欠な「人事評価やマネジメント」が難しくなることも、テレワークの課題の1つです。
テレワークでは、上司は部下が仕事をしている様子を直接目で見て確認することはできません。そのため、「適切なタイミングでアドバイスできない」「人事評価の判断材料が不足する」といったことが起こり、人事評価やマネジメントに支障をきたします。
テレワークには、情報セキュリティ上のリスクもあるとされています。自宅のネットワークは会社のネットワークほど安全性が高くはないケースが多いため、パソコンへの不正アクセスやウイルス攻撃などに注意が必要です。また、コワーキングスペースやカフェなどでテレワークを行う従業員がいる場合には、公共のWi-Fiを通じた情報漏えいや、PCや書類などの置き忘れ・紛失による情報漏えいが起こる可能性もあります。
テレワーク可能な職種に偏りがあることも、テレワークの課題の1つです。同じ社内でも、「テレワークしやすい(可能な)職種」と「テレワークしにくい(できない)職種」に分かれるケースも少なくありません。テレワークしにくい(できない)職種の従業員が、「あの職種の人だけテレワークができて羨ましい」と不公平感を抱く可能性もあります。実際、こうした不公平感を懸念し、テレワークの導入に踏み切れない企業もあるようです。
テレワークを円滑に進めるためには、以下にあげるような環境整備コストがかかります。
環境整備コストの例
●ノートPCやタブレットなどの購入費用 ●Wi-FiやVPN回線などの通信環境費用 ●勤怠管理ツールやWeb会議ツールなどの導入・運用費用 ●通信費や冷暖房費など、従業員に支給する各種手当 など |
こうした「導入時にかかるコスト」や「その後のランニングコスト」と、「テレワークによるメリット」を比較せずにテレワークを実施した場合、メリットよりデメリットの方が大きく感じられるケースも少なくありません。
ペーパーレス化が進んでいない企業の場合には、これまで説明した課題への対応に加え、紙業務への対応も必要になります。
ペーパーレス化をせずにテレワークを進めた場合、「業務で必要な書類を、自宅で閲覧できない」「紙の文書にハンコを押すためだけに出社しなければいけない」といった問題が起こる可能性があります。そうした状況では、テレワークを円滑に実施するのは困難です。テレワーク成功のためには、ペーパーレス化とテレワークを同時進行で進めなくてはなりません。
関連記事:テレワークに不可欠な「ペーパーレス化」のメリットや導入時のポイントを紹介
「welog」は、メンバーのノウハウやナレッジを見える化することで
中小企業の属人化問題を解決するドキュメント共有ツールです。
テレワークの課題に対する解決策は、大きく分けて「(1)社内の仕組み・体制などを見直す」「(2)クラウドツールを活用する」という2つの方法があります。ここでは、「(1)社内の仕組み・体制などを見直す」にフォーカスして、具体的な解決策を紹介します。
「テレワーク可能な職種に偏りがある」という課題を抱えている場合には、「業務の見える化」や「役割分担」の見直しをすることをおすすめします。
「テレワークに向かない」と思われる職種や業務内容であっても、業務フローを見直したり、クラウドツールを活用したりすることで、テレワークが可能になるケースがあります。「本当にテレワークができない職種なのか」「何か工夫すれば、テレワークが可能になるのではないか」を検討するためにも、まずは「業務の見える化」を行いましょう。その上で、役割分担や業務フローの見直しを実施します。
ここからは、「(2)クラウドツールを活用する」というテレワークの課題解決策にフォーカスし、テレワークの課題を解決できる具体的なツールを紹介します。
「人事評価・マネジメント」に関する課題を解決するためには、「人事評価制度の見直し」と「マネジメント層への教育」が必要です。
「テレワークで働く従業員の働きぶりを、どのように評価するとよいか」「オフィス勤務がメインの従業員と、テレワーク主体の従業員とで、評価方法・基準に差を設けるべきか」といった観点から、自社の人事評価制度を見直しましょう。なお、人事評価制度を改めた場合には、「就業規則の変更」と「変更後の就業規則の、労働基準監督署への届け出」が必要です。
マネジメントについては、マネージャーやリーダーといった役割を担っている従業員を対象に、「マネジメント研修」を実施しましょう。マネジメント研修では、テレワーク環境におけるマネジメントの具体的な方法やコツなどを伝えます。「新プロジェクトの始動前には、全員参加のweb会議を開催し、メンバーにプロジェクトの目的や大まかな流れを説明する」「ビジネスチャットツールやweb会議ツールを活用し、積極的にメンバーとコミュニケーションを取る」といったことを伝えられるとよいでしょう。
「情報セキュリティ」の課題に対応するためには、「セキュリティポリシーの策定」や「社内教育の実施」が有効です。従業員が迷うことなくセキュリティ対策ができるよう、セキュリティポリシーは具体的かつわかりやすい内容にしましょう。具体的にどのような対策を設けるかは企業によって異なりますが、例として、「ウイルス対策ソフトを常時稼働する」「VPN回線を使用する」「席を立つときは、必ず画面ロックをする」「USBメモリーの使用は限られたファイルに限定する」といったことが挙げられます。セキュリティポリシーが遵守されているかを、定期的に確認することも重要です。
また、セキュリティ対策のより一層の強化のためには、社内教育の実施も欠かせません。社内教育では、セキュリティポリシーの具体的な内容のほか、情報漏えいによるリスクについても説明し、従業員の理解を得ましょう。
テレワークの課題の1つである「コミュニケーション」や「情報共有」をスムーズにするツールを紹介します。
オンライン会議ツールとは、「Zoom」や「GoogleMeet」などに代表される、オンライン会議の実施を目的としたツールです。パソコンやスマートフォンなどのデバイスとインターネット環境さえあれば、どこからでも会議に参加できます。会議で使う資料の画面共有もできるため、テレワークでも円滑なコミュニケーションを取りながら、会議を進めることが可能です。
コミュニケーションツールとは、文字通りコミュニケーションを目的としたツールで、「Chatwork」や「Slack」に代表される「ビジネスチャット」が有名です。コミュニケーションツールを使うことで、リアルタイムなやり取りが可能になります。文書ファイルや画像などの共有も簡単にできるため、テレワークにおける情報共有の課題解決にもつながるでしょう。
情報共有ツールとは、ファイルや文書など企業活動で利用されるさまざまな情報を、web上で共有・管理するツールです。情報共有ツールを使えば、必要な文書をクラウド上で一元管理できます。「紙業務への対応」や「ペーパーレス化」が課題となっている企業は、情報共有ツールを活用するとよいでしょう。
「welog」は、「必要な情報を誰でも簡単に残せる、必要な情報が簡単に見つけられる」をコンセプトとする、チームのための情報共有ツールです。welogを使えば、会議の議事録や業務マニュアル、日報などのさまざまな文書を、ペーパレスで記録・共有・活用できます。操作画面がシンプルでわかりやすいため、情報共有ツールを初めて使う方でも、直感的に操作することが可能です。
「welog」の無料登録はこちらからできます。
勤怠管理ツールとは、「ジョブカン」に代表される、従業員の出勤・退勤時間や休憩時間などを管理するツールです。勤怠管理ツールがあれば、自宅からリアルタイムで出退勤を報告することが可能なため、テレワークにおける勤怠管理の課題を解決できます。「紙ベースで勤怠管理をしているけれど、テレワークを導入したい」という企業は、勤怠管理ツールを活用しましょう。
バックオフィス関係の業務を中心に問題となっている「ハンコ出社」を解決するツールもあります。
「契約書を紙ベースで作成しているため、ハンコ出社が必要」というケースでは、契約書の作成・保管など、契約業務に特化した「電子契約ツール」を活用しましょう。代表的な電子契約ツールとしては、「クラウドサイン」が挙げられます。電子契約ツールを使えば、クラウド上で契約が完結できるため、紙の契約書への押印が不要になります。
「稟議書や決裁書に押印するため、ハンコ出社が必要」というケースでは、稟議書や決裁書などの申請・承認が行える、ワークフローシステムの導入をおすすめします。代表的なワークフローシステムとしては、「ジョブカンワークフロー」が挙げられます。ワークフローシステムを活用することで、稟議書・決裁書への押印が不要になります。
電子契約ツールとワークフローシステムを併せて活用することにより、「ハンコ出社」の頻度が大幅に下がるでしょう。
テレワークの課題を解決することにより、テレワークのメリットをより実感しやすくなるかもしれません。テレワークの導入で得られるメリットを簡単に紹介します。
BCPとは、「Business Continuity Plan」の略で、「テロ」や「自然災害」といった緊急事態が起こった場合でも、企業として重要な業務を継続し続けるための計画を意味します。テレワークやペーパーレス化が実現できていれば、緊急事態に遭遇した場合にも、業務を継続し続けることができます。
テレワークを進めることにより、大幅なコスト削減が期待できます。テレワーク勤務の従業員が増えれば、従業員の通勤手当やオフィスの賃貸料などが削減可能になるでしょう。また、テレワークとペーパーレス化を同時に進めた場合には、書類の印刷・保管に必要なコストも削減できます。
テレワークを導入すれば、従業員は「時間」や「場所」に縛られることなく、仕事をできるようになります。テレワークの導入により、柔軟な働き方が実現すれば、「仕事もプライベートも、これまで以上に充実させたい」という人が増え、従業員のエンゲージメントやワークライフバランスの向上が期待できます。また、「育児」「介護」「副業」といったさまざまな理由に対応しながら業務を継続しやすくなり、従業員の離職防止にもつながるでしょう。
実際にテレワークを導入している企業では、テレワークにおける課題をどのように解決しているのでしょうか。ここでは、厚生労働省の「テレワーク宣言応援事業」に掲載されている企業の事例を紹介します。
京都府でヘルスケア事業を営む株式会社バックテックでは、「週1~2日は出社、他の日はテレワーク」というハイブリッド型で、テレワークを実施しています。ハイブリッド型のテレワークに、従業員も満足しているようです。
パソコンやWi-Fiなど、テレワークに必要な機器類はすべて会社が支給。在宅で快適に働くための物品の購入申請には、金額や回数の上限を設けていません。
「顧客との信頼関係構築」や「チーム内でのコミュニケーション」に課題を感じたこともあったそうですが、「SNS活用」や「オンライン日報」「効率的なコミュニケーション方法についての話し合いの実施」などにより、課題を克服したそうです。
広島県にある社会保険労務士法人SaLacでは、2018年7月に発生した西日本豪雨災害で交通機関が不通となり、出社できない従業員がいたことをきっかけに、テレワークの導入を検討し始めました。現在は月に1~2回程度、業務に支障がないことを前提に、好きなタイミングでテレワークが可能です。
「出産」「育児」「介護」といったことを理由に貴重な人材がやむを得ず退職してしまうことを避け、自分に合った環境で最良のパフォーマンスを発揮しながら、安心して働き続けてもらうための一つの選択肢として、テレワークを推進しています。
テレワーク中の「電話対応」と「業務の進捗などの情報共有」に課題を抱えているものの、システムの積極的な活用により、課題解決に取り組んでいるそうです。これにより、テレワーク中でもスムーズな顧客対応が可能となり、サービス品質のさらなる向上を目指せるとしています。
テレワークには、「コミュニケーション量や質の低下」や「労務・勤怠管理」「人事評価やマネジメント」といった課題がありますが、そうした課題は「社内の仕組み・体制などの見直し」や「クラウドツールの活用」により解決できます。テレワークの課題を解決できるクラウドツールには、「オンライン会議ツール」や「情報共有ツール」「勤怠管理ツール」などさまざまな種類があるため、自社の課題感や目的などに見合ったものを選ぶことをおすすめします。クラウドツールの活用により、テレワークの課題を解決し、テレワークの推進につなげましょう。
テレワークでの情報共有に適したクラウドツール「welog」にご興味のある方は、こちらから詳しい情報を入手いただけます。