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組織やチーム内で日々行われる「情報共有」。「情報共有の重要性は理解しているものの、効果的な方法でできているのかが疑問」「チーム内での認識に違いがある」などの課題を抱える方もいるでしょう。そこで今回は、組織における情報共有の意味や重要性、情報共有がうまくいかない原因から考える対応策などを紹介します。
個人が持つ情報を相手と共有する「情報共有」(英語訳:information sharing)。ビジネスや組織における「情報共有」とは、各個人が持っている業務上有益な知識やノウハウを、組織全体で共有するという意味を持ちます。情報共有には「収集」「整理」「共有」「活用」という4つの要素があり、価値のある情報共有を行うには、各段階の工程をうまくつなぎ合わせることが重要です。
情報共有の起点となるのが「収集」です。この段階では、組織内の各場所に散らばった情報を収集し、必要に応じて取捨選択を行い蓄積します。収集の段階では、情報のソースを調べるなどファクトチェックを行い、情報の信憑性も併せて確認することが大切です。
次に、蓄積された情報を分かりやすい形に「整理」します。本棚に本を並べるように、情報の置き場を整備し、カテゴリーや時系列順に名称やタグ付けを行い分類・整理することで、必要な情報を誰もがピックアップしやすい状態になります。
整理した情報は、「情報共有ツール」などを活用して「共有」します。この段階では、情報の種類に応じて公開や編集権限の範囲を指定して情報を管理し、セキュリティを強固にすることが求められます。
ここまでの段階を経ることで、はじめて必要な情報が必要なときに「活用」できる状態になります。活用した情報が新たな情報を生み出す役割を持ち、情報共有の各段階が循環しはじめれば、社内の情報共有が成功していると言えるでしょう。
組織内にある情報の種類は、「フロー情報」と「ストック情報」に大きく分類できます。フロー情報とは、対面やチャット上での雑談やタスクの期限など、短期間で消費される有効期限が短い情報のこと。一方のストック情報とは、プロジェクトの中で蓄積されたノウハウなど、時間が経っても価値が変わらず、アーカイブされていく情報です。情報共有を行う際、どちらの性質を持つ情報なのかによって、共有に適したツールや共有方法が変わります。
情報共有と似た意味を持つ言葉に「コミュニケーション」があります。コミュニケーションは、情報共有よりもより広義な意味を包括しており、情報共有はコミュニケーションにおける1つの側面と言えます。組織内やチーム間で良好なコミュニケーションができていないと、情報共有も機能しにくくなります。そのため、コミュニケーションは情報共有の基盤と考えるとよいでしょう。
組織内での情報共有は、なぜ重要なのでしょうか。情報共有がうまく行われていない職場では、ミスの重複や業務のダブリなどが起きやすく、業務の遂行にも影響が出てしまいます。また、各自が必要な情報を探すのに多くの時間を割くと、業務の効率は低下し、意思決定にかかる時間も長くなります。
さらに、組織が営利団体である限り、企業活動によって得られる情報は組織の「財産」です。組織で生み出された財産は、さらなる利益を生むために活用されてはじめて価値を発揮します。そのため、必要な情報共有が行われてない状況では、その組織が持つ情報の価値も十分に発揮されていない状況と言えるでしょう。
では、情報共有を行うことで組織やチームはどのようなメリットを得られるのでしょうか。
「属人化」とは、業務を担当者個人や一部のメンバーだけが担っており、組織として必要なナレッジ・情報の共有ができていない状態のこと。社内での情報共有がスムーズになることで脱属人化が進み、チーム全体で業務を運営できるようになります。業務の属人化は、担当者がいないと業務が遂行できない状況を引き起こすため、組織におけるリスクにもつながります。属人化を防止することにより、アウトプットの質が均一になる、トラブル発生時に対応しやすいなど、組織としてのリスク回避にもつながるでしょう。
属人化については、以下の記事でも詳しく解説しています。
(参考:『属人化を解消し、業務の生産性や効率アップをはかる方法とは』)
必要なデータが適切に共有されていない状態では、必要な人が必要になったときにそれぞれ情報を探す必要があります。情報の保管場所がわからない場合は、わかる人に聞くなどの手間が発生することもあるでしょう。必要な情報をその度に探す数分が積み重なることで、組織の大きな損失にもつながります。日頃から共有された情報を組織で活用できる状態にすることで、個人が情報を探したり、確認したりする時間が短縮でき、業務効率が改善されるでしょう。
さらに、情報共有が円滑に行えると、ベストプラクティスがアップデートでき、生産性向上も期待できます。ベストプラクティスとは「現時点での最も良いやり方」を意味し、その範囲は「ノウハウ」「知識」「業務の進め方」などさまざまです。「現場におけるベストプラクティスの吸い上げ」「吸い上げたベストプラクティスのテンプレ化」「PDCAを回すことによる、改良点の抽出」「ベストプラクティスのアップデート」のサイクルを繰り返し、個人やチームが行った業務の最も良いやり方を共有していくとよいでしょう。
情報共有を進めることは、メンバー同士の理解を深める効果も期待できます。メンバー同士がお互いの業務を理解していない、いわば相互理解がない状態では相手を思いやることが難しく、円滑なチームワークも期待できません。些細なことでトラブルが発生しやすくもなるでしょう。情報共有が進むことで、別々の業務を担当しているメンバー同士がフォローしあえるような関係を構築することも可能です。
また、業務で発生したトラブルは組織の信用問題にも関わることから、できるだけ早期の対応が求められます。しかし、チーム内の情報共有が不足した状況では、トラブル発生時の状況確認などにも時間を要し、適切な対応を取るまでに時間がかかります。普段から進捗状況などを共有しておくことがトラブル時の迅速な対応につながるでしょう。
デジタル化が進展するなか、ビジネスにおけるスピード感はますます重要性を増しています。意思決定に時間がかかることは、組織としての機会を損失してしまうリスクになるでしょう。情報共有が円滑な組織では重要な判断も迅速に行えることから、スピード感を持った意思決定が可能です。利益を得るタイミングを逃さず、安定した経営を存続することにもつながるでしょう。
情報共有が盛んになると、先述したように社内でより多くの情報が蓄積されるようになります。ノウハウやナレッジなど、経験により蓄積された有益な情報は、他の業務にも活用できるため、さらに新たな価値を創出することにもつながります。
さまざまなメリットがある情報共有ですが、社内での共有がうまくいかない、という組織も多いのではないでしょうか。情報共有が十分に行えない原因と対策を、フェーズごとに見ていきましょう。
最も基本的な問題として、社内やチーム間のコミュニケーションに問題があるというケースが想定されます。失敗を許さない雰囲気がチームにある場合や、上司・部下間およびメンバー同士の信頼関係が築けていない場合などは、「失敗を報告しづらい」「有益な情報は自分だけのものにしたい」などの心理が働きがちです。
このような状況においては、情報共有の重要性を説明しても、十分な促進効果は得られません。まずは、チーム内の人間関係の基盤を構築することに注力しましょう。特に大切なのは、上司・部下間のコミュニケーションの円滑化です。上司が部下の失敗を責めず、対話を促すような施策を実施することが効果的と言われています。上下の関係が改善されることでチームの雰囲気も変わり、メンバー同士の関係も改善されていくでしょう。これにより、情報共有も活性化できると考えられます。
チーム間のコミュニケーションに問題がない場合でも、情報共有のメリットが十分に伝わっていない、またはマネジメント層などのごく一部の人のみがその重要性を理解している状態では、情報共有は活性化されません。組織やチーム内での情報共有は、なるべく多くのメンバーを対象に、大きい輪で行うことが肝心です。メンバー内に、情報共有のメリットが十分に理解されていない場合は、まずはその重要性の認知を促進させる取り組みを行うとよいでしょう。
活発な情報共有のサイクルを生み出すためには、蓄積する情報の内容や方法について、一定のルールを定めておくことも大切です。情報共有のメリットはわかっていても、「どこに・どのように」情報を置いておくか、それをどのように発信していくかなど、ルールが整備されていないと情報がうまく蓄積・活用されません。
例えば、サイズも厚みもバラバラな膨大な数の本を、整理し活用しやすい状態にするためには、それに見合ったサイズの本棚が必要です。また、「作者別」「あいうえお順」など、収納場所のルールを設けることが、検索性の高い本棚にするためには欠かせません。さらに、すでに持っている本を活用するためには、そもそもの置き場所や検索方法などのルールを、利用者が理解していることも重要です。情報共有も同様に、蓄積時のルールを設けて、その理解を促すという段階を丁寧に行うことが、活用をスムーズにさせる近道となるでしょう。
情報共有のルールが整備され運用が開始されてからも、担当者の不在や多忙により、情報共有がうまく機能しない場合も想定されます。このため、各チームやプロジェクトで情報共有が円滑に行われているかを、随時確認することも大切です。チームの状態によっては、情報共有の運用方法を見直すなどの対策も検討しましょう。
働き方が多様化する現代において、情報共有の方法も紙ベースの資料などアナログな手段からの転換が必要です。オンライン上に情報を集約できるクラウドツールの活用により、迅速かつ効率的な情報共有が実現できるでしょう。はじめに説明したように、情報共有はその性格に応じたツールを利用することが重要です。
フロー情報の共有には、ビジネスチャットの利用が適しています。組織内で、日々業務中に交わされるフロー情報は膨大な量におよびます。担当者は、この膨大な情報から自分に必要なものを適切にピックアップしなければなりません。反対に言えば、不必要な情報は自然と流れていくような仕組みで情報共有が行えると効率的です。
ビジネスチャットには、特定の相手を指定できる「メンション機能」や、自分自身にメンションが立ったときに、自動的に通知される「通知機能」などがあります。これらを活用することで、迅速で、漏れのないフロー情報の共有が行えるでしょう。
ストック情報の共有には、情報を一元化しておける「情報共有ツール」の利用が効果的です。蓄積する場所が明確だと、誰もが必要な情報に辿り着くことができるからです。ただし、情報の種類によって蓄積に最適なツールは異なります。情報共有ツールは、それぞれに蓄積された情報を「wiki」のように一元化しておく場所としておくと、効果的に利用できるでしょう。
ドキュメント作成が行える「welog」は、「必要な情報を簡単に残せる。必要な情報が簡単に見つかる。」をコンセプトとする、情報共有ツールです。議事録や社内ノウハウを蓄積する場所としてwelogを活用することで「会議が会話のみで進行してしまい、議事録が残っていない」「チャットだと、大事な情報まで流れてしまう」「フォルダが整理されておらず、必要な情報がみつからない」など、チーム内の情報共有に関する課題を解決できます。
社内の情報共有を円滑にすることで、「属人化解消」や「業務効率化」などのメリットにつながります。ただし、情報共有を効果的に行うには、重要性やメリットを全員が理解しておくことが大切です。社内での情報共有に問題がある場合は、どの段階に課題があるのかを見極め、必要なツールの利用を検討しながら、組織の情報共有を促進させましょう。
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